ルポ・若者たちの都知事選2014 第一回・大学を飛び出してきた選挙スタッフ
ビラ叩きつけられても 反対意見が励みに
木村が東京に来て愕然としたのは、知事選に対する関心の低さだった。二人の元首相が街頭演説をするときでさえ、半分近くの人が足を止めず「素通り」していく。「自分がこれだけ燃えていただけにショックでした」。 街頭で「反小泉」や「原発推進」の立場の人が、強い口調で木村に迫ってくることもある。配ろうとしたビラを地面に叩き付けられたこともあった。しかし、木村は「むしろそれが励みになる」という。 「賛成意見のひとよりも、反対意見の人のほうが積極的に話しかけてくれる。同じ意見の人同士ではあまり議論できないので嬉しいです」。
二人の元首相との”約束”
1月28日世田谷区内でおこなわれた街頭演説のあと、木村は小泉元首相に手紙を渡した。木村の元首相二人に対する決意表明だった。小泉氏は翌日、JR吉祥寺駅前の演説で木村の手紙を読み上げた。「一分間も取り上げてくれたんですよ。これは励みになりました」。 木村は小泉氏に手渡した手紙に「脱原発という大改革は、政治家や役人、一部のスペシャリストによる『誰かに与えられる改革』ではなく、電気を使う市民一人一人が『自ら勝ち取る改革』でなくてはならない」と書いた。 選挙結果を受け自分の「力不足を実感した」という木村だが、「自分の言葉に対する責任を果たしていかなければならない」と意気込んでいる。 二人の元首相との"約束"は果たすつもりだ。 (文中敬称略)