規制クリアのために利益より台数……ってこんなのアリ? 政府の強引なBEV普及施策によりいまカリフォルニアでBEVが乱売状態だった
規制をクリアするために利益よりも台数重視
すべてのメーカーがBEVに魅力的な特典を設けているわけでもないし、この傾向はBEVだけではくICE車でも見受けられるのだが、「日本に比べればはるかに高金利社会のアメリカで低金利や0%ローンを用意するなど、ここまでの魅力的なファイナンスプランでは利益は取れていないでしょう。まさに規制値クリアするための『利益より台数を売る』という流れにシフトしているブランドが多いですね」(事情通)。 また、南カリフォルニアでクルマに興味のある人や業界関係者と話をすると、「BYD」という言葉がひんぱんに飛び出した。大統領選真っ最中のアメリカでは、民主党、共和党とも大統領候補は中国製BEVのアメリカ進出を関税引き上げなどでけん制している。 南カリフォルニアでも「BYDがメキシコに工場用地を取得した」といった情報が流れており、「メキシコ製」で政府の動きをかわしてアメリカ進出してくるのではないかという危惧も、いまのBEVの乱売ともいえる状況を生み出しているのかもしれない。 まずはカリフォルニア州においては、2025年秋まではBEVをほしいと考えている人にとっては絶好のチャンス到来となっているようであった。 ほぼ100%自然発電による電力で賄い、充電インフラも目に見えて増えているのだが、それでもBEVの増加には対応しきれていないようにも見える。また、単に日々の燃料代をセーブしたいという人を中心に、トヨタを中心とした日系ブランドのHEV(ハイブリッド車)というものも単に人気が高いだけではなく、より広い人にその性能が認知されるようになっており、これもBEV販売へアクセル全開となっていないようである。 2033年から2034年秋あたりをめざしてICE車の駆け込み購入も目立ってくるともいわれているので、BEVの乱売傾向は短期的に収束することはないかもしれない。
小林敦志