「早起きは三文の徳」は大間違い…「朝」から「昼」重視にシフトして仕事効率が爆上がりした理由
1日の時間を有効に使うにはどうすればいいか。物流エコノミストの鈴木邦成さんは「『早起きは三文の徳』といわれるが、朝の時間に大きな期待を抱くと、それ以外の時間帯への滞りを生み全体でみて効率的ではないことが多い。人間は昼行性の生き物なので、『時間医学』の考え方としても体験的に考えても、起床してから4時間から6時間後あたりの日中に重要な案件をこなしておくということが、もっとも効率よく仕事に取り組める」という――。 【図表】特定の時間帯への過度な期待が、それ以外の時間帯の滞りを生む ※本稿は、鈴木邦成『はかどる技術』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。 ■「早起きは三文の徳」はウソだから早朝に期待するな 時間が上手に使えない人は多いと思います。 そんな時間管理に悩んでいる人の話を聞いてみると、ある共通点があります。 それは「朝早く起きて勉強する」「週末に積み残してきた仕事をまとめてやる」といったように、ある特定の時間帯に集中して取り組んでいることです。 それ自体は悪いことではないのでしょうが、そうなると、どうしてもその時間帯でできることに過度な期待が生じていきます。 しかも、それは「時間の滞り」を解消していく視点から考えると、合理的な対応とはいえません。「まとめてやる」ということで、特定の時間帯に対する期待値を高くすれば、その通りにできなかった場合、逆に挫折感も大きくなるからです。 それがもっとも顕著に出るのが朝です。 「早起きは三文の徳」「朝の時間はゴールデンタイム」といわれるように、朝の時間に大きな期待を抱く人が少なくありません。 「朝早く起きて、頭がさえている状態の午前中にプレゼン資料の作成や資格試験の勉強をしたりするといい」 「仕事ができる人は、朝早く起きて、始業前に重要なメールに返信したり、大切な用件に手をつけたりするものだ」 という理屈です。
■早朝の忙しい時間帯に、ぼんやりした状態で続ける意欲を保てるか しかし、その言葉を真に受けて、朝早く起きてみたものの、「三日坊主で終わってしまった」「結局、起きられず挫折感だけが残った」という人が実に多いような気がします。 30代くらいまでならば、早朝はぎりぎりまで寝ていて、大急ぎで身支度を整え、出社するのが普通だと思います。実際のところ、朝起きてしばらくは、ぼんやりしている人が多いはずです。 学生の場合、授業が1時間目からあれば、午前9時前には大学に着いていなければならず、始業前の早朝からがんばっているという人は、部活の朝練などを除けば、ほとんどいないはずです。 それに通勤・通学ラッシュのなかで、勉強したり、副業をしたりするのは、かなりの意思・意欲がなければなかなかできることではありません。 朝6時に起きて、寝ぼけ眼(まなこ)で電車に乗り、職場で仕事を始めて調子が出てくるのは、午前10時くらいのはずです。 起床してから4時間から6時間後あたりが、もっとも効率よく仕事に取り組めるというのが、「時間医学」の考え方ですし、体験的に考えてもそうでしょう。 ■「朝を制すものが1日を制す」で不必要な挫折感 たとえば朝4時に起きて、資格試験の勉強をしようと思っても、ペースが上がるのは朝8時くらいになるはずです。サラリーマンなら通勤途中でこんな時間に頭が冴さえても、冴えるだけムダかもしれません。 「朝が効率的」といわれ、それを実践した人が、「朝を制す者が1日を制すというが、眠いだけであまり勉強はできなかった。自分はダメな人間だ」と不必要な挫折感を味わうのは、こういうことも大きな原因の1つなのです。 ちなみに早朝に仕事をしている人はあまり多くないのか、私が早朝(午前4~6時の時間帯)にメールをもらうことはほとんどありません。 ただし、「仕事は朝のうちに済ませてしまえ」と思っているのか、午前9時から10時過ぎくらいまでのビジネスメールはかなりの量になります。