「早起きは三文の徳」は大間違い…「朝」から「昼」重視にシフトして仕事効率が爆上がりした理由
■午前中の仕事は「慣らし運転」でいい したがって、午前中の仕事は「慣らし運転」のようなものと考えて、軽めにこなし、午後にメインの仕事を持ってくるというのが、効率的に仕事をこなしていくコツにもなります。 Cさんの例でいうと、朝から営業戦略の立案などを行うのは、いうならば最初からギアをトップに入れるようなものです。慌ただしい朝にじっくりと時間をかけて行わなければならないタスクを入れるところにムリがあるのです。 午後の商談は悪いというわけではありませんが、相手の都合もありますから、状況に応じて朝や夕方も活用することにして、午後に固定するという考え方はとらないほうがよいはずです。 このような考えに至ったのは、私も以前、朝に仕事を集中していた時期があったからです。朝方の仕事はタバコを吸いながら、コーヒーを飲みながら、ゆっくり取り掛かると、快適なものです。仕事もはかどるような気もしました。 ところが35歳くらいのときにタバコをやめてから考え方が変わりました。 タバコをやめてみると、朝の慌ただしい時間帯にゆっくりと立案を練るというのはどうも落ち着かないのです。そこでタバコをやめたことをきっかけに、朝重視型から昼重視型にシフトすることにしたのです。 当初は午後の仕事効率が落ちましたが、「昼を活かすためにはどうしたらよいか」ということを考えるうちに、「朝から全力で飛ばさない」「朝のタスクは軽めにして、午後を仕事のメインに据える」という考え方に至ったのです。 そしてさらに工夫を重ね、昼重視型を自分なりに改善していくと、より一層、効率的に仕事をこなせるコツもわかってきたのです。 ---------- 鈴木 邦成(すずき・くにのり) 物流エコノミスト、日本大学教授 一般社団法人日本ロジスティクスシステム学会理事、電気通信大学非常勤講師(経済学)。専門は物流およびロジスティクス工学。物流改善などの著書、論文多数。普段から学生やビジネスパーソンから専門分野に関する相談を受ける一方で、就職、転職、資格試験の勉強方法、職場での時間管理や人づきあいなど、幅広い悩みについても意見を求められるという。そうしたやりとりのなかで、物流・ロジスティクス工学の知見を、「仕事や人生の滞りをなくす」という視点から悩みに当てはめることで、思いがけない解決策を導けることに気づく。主な著書に『トコトンやさしい物流の本』『入門 物流(倉庫)作業の標準化』『トコトンやさしいSCMの本』(いずれも日刊工業新聞社)、『シン・物流革命』(中村康久氏との共著、幻冬舎)、『物流DXネットワーク』(中村康久氏との共著、NTT出版)などがある。 ----------
物流エコノミスト、日本大学教授 鈴木 邦成