「辞めたい!投げ出したい!早く卒業したい」も気づけば6年に 演歌歌手・森山愛子がブランチリポーターを続けられた訳と活動休止する理由
── でも6年10か月も続けられたんですね。 森山さん:怒られることも多かったですが、すごく勉強にもなったと思います。「私は演歌歌手なのに…」という葛藤もありましたが、いろいろなことをリポートして表現することは、歌の表現の幅を広げることにも繋がりました。演歌歌手という本業の存在も大きかったと思います。リポーターでうまくいかなくても「私には歌があるんだ」と思って乗り越えてきました。 当時、ブランチのリポーターは、みなさん、タレントだったり、歌手だったり、女優だったり、別の世界でも頑張ろうと思っている人たちばかりだったので、お互いに支え合って、刺激し合って頑張れた、というのもあります。卒業が決まったときもすごく寂しくて、「ファミリー」と呼べる存在だったと気づきました。卒業後も、ブランチリポーターの経験を活かして栃木や福島のテレビ番組のリポーターなどもやらせてもらいましたし、今となっては本当にやってよかったと思っています。
■20年を節目に新しい自分に挑戦 ── 演歌歌手として20年の道を歩まれてきました。演歌の世界で憧れの先輩がいらっしゃるそうですね。 森山さん:同じ事務所の先輩ですが、冬美さんは小さいころから憧れの方です。いつも冬美さんの曲を歌っていました。初めて会ったのはデビューが決まって事務所に所属したときです。冬美さんの公演に行き、楽屋で挨拶をさせてもらいました。19歳のころでしたが、のど自慢の生放送で歌ったのを超えて、人生で一番緊張したと思います。のれんの向こう側から出てきた冬美さんは顔が小さく美しくて…。おそらく挨拶くらいしかできなかったと思うのですが、緊張しすぎて記憶がないですね(笑)。
歌い手としてはもちろんですが、人間としても見習いたいところだらけの素敵な方。気配りや所作、ひとりずつと向き合う姿勢など、私にとってずっと憧れの人です。冬美さんのライブは若い人から年配の方まで幅広いファン層がいて、そんなところも魅力的だなと感じます。 ── 来年から活動を休止されますが、坂本さんにも相談したり、アドバイスをいただいたのでしょうか? 森山さん:それはしていません。活動休止についてはひとりで決めました。ずっと応援してくれていた母にも言いませんでした。活動休止については5月のライブでファンの方にお伝えしたのですが、母が知ったのもそのときでした。観客として来てくれていて、きっと聞いたときは客席でびっくりしたんじゃないかな…。「私が決めたことなら」と応援してくれていますが、多分すごくショックを受けたのかなと。本当は演歌歌手を続けてほしかったのかもと思っています。ファンの方々は驚いてはいましたが、最後には受け入れてくれましたね。「愛ちゃんが決めたことならば」「愛ちゃんが私の人生の推し活の最終章」と言ってくださるファンの方もいて、本当にありがたいというか申し訳ないというか…。