『西園寺さんは家事をしない』『1122』の漫画家が考える“いい夫婦”とは? ふたりの漫画家が見つめなおす、恋愛作品の描き方【実写ドラマ化の原作漫画家対談】
ひうら「実写化は、自分の描いたもののいいところを客観的に再発見できる」
【渡辺】 風俗バレしたときの応酬は、今度Prime Videoで放送されるドラマでも端折らずしっかり再現されていて。立場が弱いはずのいちこがおとやのことをガン詰めしているのを見ながら「こんなに強かった:interrobang:」ってびっくりしました(笑)。描いているときは意識していなかったけど、考えてみればフィクションでこういう場面を観たことはなかったな、キツいけれどなんかいいな、って改めて思えたのもうれしかったです。家を出ていって泣きながら歩いているおとやを観ていたら、さすがにかわいそうになったけど(笑)。 【ひうら】 実写化で嬉しいのは、自分の描いたもののいいところを客観的に再発見できることですよね。「これ、すごくいい話じゃん! 誰が描いたの?」って(笑)。 【渡辺】 わかります…!(笑)。当時はめちゃくちゃ考え抜いて描いたはずのことも、時間がたつと忘れていることが多くて、新たに音や映像で飛び込んでくると「こんないいセリフが……!」って感動してしまう。もちろん、原作をものすごく大事にしてくださっている脚本とスタッフのみなさんがあってこそ、なんですけれど。 【ひうら】 ものすごく、わかる(笑)。『西園寺さんは家事をしない』の撮影はまだ観ていないんだけど、西園寺さんも楠見くんもイメージぴったりだし、みなさん、しっかり原作を読みこんでくださっていて、癒しの空間をみなさまにお届けできると、今から断言できます。 【渡辺】 マンガだけでは届かなかった方々に、見ていただけると嬉しいですよね。完結したのが4年前なので、トピックとして古びていないかどうかの不安はあるんだけれど、作品としてものすごくいいものが出来上がっていると思うので、とくに若い方が観てどう感じるのかを聞いてみたい。 【ひうら】 『西園寺さんは家事をしない』もぜひ若い方にも観ていただきたいなと思いますね。家事を一人で抱え込みすぎないとか、エモーショナルな絆がなくても家族という関係性は成り立つかもしれないという選択肢の提示であるとか、ドラマスタッフの方々が改めてとらえなおしてくださったテーマを、それぞれ感じていただけたらいいな、と。