【開発裏話】ランタンスタンドの定番スノーピーク「パイルドライバー」は釣り用品が原型だった?
■パイルドライバーをより長く使うためのコツ
せっかくなので「パイルドライバー」を長く愛用するためのコツを聞いてみました。 「まず、打ち込むフィールドですね。河原や岩場のような場所は注意が必要です。打ち込めないわけではありませんが、万が一、地中にある岩に打ち込んでしまうとどうしても故障しやすくなってしまいます」 一般的なオートキャンプ場のような土や芝生、細かい砂利といったフィールドでは問題なく使えますが、上記のような場所で使用する際には注意しましょう。 ちなみに、まれに“アスファルトやコンクリートに打ち込んだはいいけど、抜けないからとグリグリこじった結果、石づきが壊れた”と、修理依頼が来るのだとか。 打ち込めちゃうからと言ってなんでもかんでも打ち込むのはやめたほうが良さそうです。 他には、「蝶ネジの締めすぎや重い物をかけすぎないというのも大事で、実際これらの修理依頼は多いですね」とのこと。 長さ調節は2箇所の蝶ネジを締めることで行いますが、強く締めすぎるとネジがバカになってしまうので注意です。物を吊るしたときにポールが下がらない程度の力加減で。 ハンガーの耐荷重は2kg。もちろん、一般的なランタンであれば通常仕様に問題はありませんが、吊るし過ぎには気をつけましょう。私の友人は、吊り下げ式のウォータジャグ(6L)を吊り下げて使用し、見事曲がっていました。そりゃそうでしょうよ。 ところで、スノーピークのギアってかっこいい名前が多いですよね。「ソリッドステーク」やこの「パイルドライバー」みたいに。せっかくなので、ネーミングについても林さんに聞いてみたところ、思っても見ない答えが。 「当時の開発担当がプロレス好きだったのが大きいと聞いています(苦笑)」 …え? 曰く、打ち込むという商品特徴からパイルという単語が最初に浮かんだそうです。そこまではよかったものの、その後の連想ゲームで、プロレス好きだった開発担当がプロレス技のパイルドライバーを思いついたのだとか。あのスノーピークがそんなことあります? 「当時、営業からは、“いやぁ…それどうなの?"と戸惑いの声が多かったようですが、結果的にこれだけ認知していただいているので、成功だったのでしょうか?(笑)」 この連載を書いていて毎回思うんですが、定番になるギアってちゃんと歴史がありますね。ずっと売れているのかと思ったらしっかり失敗を経ていたり、遊び心を感じるエピソードがあったり。ギアのヒストリーはこれだから面白いです。
<取材・文/山口健壱(&GP)>