Jリーグ 12のチームが“経営危機”状態に
また、現時点で三期連続赤字や今年度末の債務超過に“リーチ”がかかっていないクラブでも、今後の収支次第で状況が変わってくることも考えられる。例えば東京ヴェルディの純資産は約900万円で、今年度で大幅な赤字を計上すれば債務超過に陥る。ちなみに、2013年度は約7000万円の赤字だった。 昨シーズンをJ1で戦った湘南ベルマーレの純資産は2000万円、J1で優勝を経験している名古屋のそれは1400万円。こうした過小資本のクラブも、Jリーグ側は財務状況のヒアリングの対象としている。大河本部長が続ける。「ヴェルディに対してはとやかく言う立場ではないけれども、今年度の黒字化や増資などの対応がないとちょっと……経営陣と向き合って、広告料収入の個別具体的な上乗せの有無などをヒアリングしていきたい」。 後発事情で10月以降に今年度末の債務超過が確定した場合は、リーグ戦のスケジュールなどを組む関係で来年はそのままJ1もしくはJ 2 で戦い、2016年シーズンからクラブライセンスが剥奪される。ちなみに、2012年度末の時点で16億7700万円もの債務超過を抱えていたマリノスは、昨年度に10億円の当期純利益を計上したことで6億7700万円までに圧縮させた。すべてのJクラブの中で突出した10億円とういう数字は、特別利益として計上されている。大河常務が舞台裏を明かす。「答えから先に言いますと、日産自動車が広告宣伝費などで追加サポートしたと聞いています。リーグ戦は惜しくも2位に終わりましたが、天皇杯では優勝したことで、入場者数、入場料収入、チームグッズの売り上げが過去最高を記録し、そうした経営努力に対して特別利益なるものをキャッシュでもらったと」。 債務超過の残高は依然としてJクラブで最多となるが、今年5月にはプレミアリーグ王者のマンチェスター・シティのホールディング会社CFGと資本提携を伴うパートナーシップを締結し、CFGがマリノスの株主となったことなどを受けて解消されると、Jリーグ側のヒアリングに対して回答している。 (文責・藤江直人/スポーツライター)