Jリーグ 12のチームが“経営危機”状態に
福岡は1982年に静岡県藤枝市で創設された中央防犯サッカー部が前身であり、Jクラブの誘致に熱心だった福岡市の要請を受けて1995年にホームタウンを移転。名称を福岡ブルックスに変更し、1年後にはJリーグ加盟に備えて現在のアビスパ福岡とした。 コカ・コーラウエストジャパンが胸スポンサーを長く務めてきたが、その間の杜撰なチーム運営が響いて30億円を超える債務超過に陥り、2006年には大規模な減資を実施。コカ・コーラウエストジャパンの撤退もあってその後は経営が安定せず、チームもJ1とJ2とを行き来したことで新たな増資を打ち出すための明るい材料が見つけられにくい状況にあった。 昨年11月には一連の経営問題の責任を取って大塚唯史代表取締役が辞任。福岡県出身で、日本代表チーム部部長や鹿島アントラーズの強化担当部長などを歴任した野見山篤氏が新たに代表取締役社長に就任したが、状況はなかなか好転しない。大河常務理事が続ける。「九州には“七社会”というものがあり、九州電力や九電工などがサポートしてきましたが、原発の事情もあって厳しい状況になっているのかなと。ですので、新しい社長うんぬんの問題ではなく、これまでの歴史もあって非常に苦しい状況にあるのかなと思います。胸のスポンサーがついていないクラブは、J1とJ2を含めて現時点で福岡と東京ヴェルディだけ。福岡の場合は、胸にスポンサーが入れば増資などをしなくても何とかクリアできる域に達しているのかなと思うので、少し注意して見ているところです」。 今年度の見込み決算で福岡の債務超過が解消されず、FIBの審査でライセンスを剥奪されれば、来シーズンはJ3以下のステージで戦うことを余議なくされる。Jリーグ史上初の不名誉な事態は避けたいと、大河常務理事をはじめとするスタッフは今後も福岡をはじめとする各クラブを訪ねてヒアリングを重ねる。「(福岡に関しては)まさにいま、いい材料を見つけようとしているとご理解していただいてもいいと思います。ヘトヘトになりながらあちこち(のクラブ)へ行きます(笑)。FIBの最終審査へ向けて、不確実な要素は極力排除していかないといけませんからね」。