ヘタな会話で一触即発の事態に! タクシー運転士が教育を受ける「してはいけない話題」とは
海外では話し好きのドライバーが多い
最近タクシーに乗っていると、運転士さんが「とりあえず」として天気の話を最初にもち出して、「世間話のできるお客さんかどうか」という判断をしているように見える。最近とはいったものの、昔から天気の話は晴れているか、晴れていないか、暑いか暑くないか、気温に関しては若干個人差こそあるものの、客観的事実に基づいたものとなるので、探りを入れるのには調度いい。地元で利用するならば、通り沿いにできた新しい商店や住宅の話も差し障りがないものと考えているようだ。 地元で顔なじみになってくれば、さらにざっくばらんによりパーソナルな話にももっていけるが、最近ではトラブルを嫌い、あえて乗客に話しかけない運転士が目立っているようにも見える。多様化が急速に進むいまの世のなかでは、自分の価値観だけでやたらめったらと話しかけるのはリスキーであるし、車内で会話したくないという利用客も増えているようなので、こういった流れは仕方がないのかもしれない。 一方で、ちょっとしたきっかけで沈黙ムードが一変して話が盛り上がることもある。筆者はあまり抵抗がないので、話好きな運転士さんのときには積極的に話をするようにしている。 また、路線バスでは利用客との「雑談」は原則NGとなっている。行き先や運賃などの問い合わせについても走行中(車内移動も伴うからという説もあり)は受け付けないことになっている。 ただし、「バス愛好家」を自称する筆者は、機会があれば「オタシート(扉側席最前列)」に座ることにしているのだが、やたら話しかけてくるバス運転士に遭遇したことがある。休日の朝早い時間の利用だったので、車内には筆者以外ほとんど乗客がいないことも手伝ったようだ。 なお、タクシーの運転士さんには話し好きが多いというのは万国共通のようだ。筆者は話しかけやすいのか、どの国に行ってもやたら話しかけられることが多い。アメリカのミシガン州・デトロイトでタクシーを呼んだときには、治安の悪いアメリカで「助手席に座れ」といわれ、目的地まで最低限の英会話しかできない筆者に対しずっと話しかけてきた。中国では中国語、ロシアではロシア語でも話しかけれ、理解できずに困惑しながらも、なんとかコミュニケーションをとったことを覚えている。 ただし、ライドシェアドライバーはまず雑談をしてこないし、タクシー運転士が話しかけてくることが少なくなってきているのは日本と同じ傾向になっているように見える。 将来的には自動運転タクシーが導入されることになるだろう。完全無人運転となったときにも、是非AIなどを駆使し、相手が人間ではなくてもいいから、オプション選択で車内会話できる機能をつけてもらいたいと筆者は考えている。ちなみに古い映画となるが、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の「トータルリコール」という映画では、しゃべる無人タクシーが出ていたと記憶している。
小林敦志