「推し壇」「推し部屋」も登場 老若男女が励む推し活ブームに商機
好きな人やモノを応援する「推し活」が定着している。ビデオリサーチのシンクタンク「ひと研究所」の調査によると、若い世代だけに限らず、中高年でも2割以上に広がっている。老若男女が励む推し活を商機とみて、意外な商品も出回り始めている。 調査はインターネット上で15~69歳の男女を対象に実施し、4234人が回答した。「推しがいる」と答えた人は、15~26歳は62・1%、27~42歳は40・4%、43~58歳は27・1%、59~69歳は24・0%だった。 「推し」としているのは、アイドルやアニメのキャラクター、ユーチューバー、ゲーム作品、スポーツ選手・チームなど。「推し活」の内容として、関連の映像を視聴することやグッズの購入、ライブなどイベントの参加が多いようだ。 企業側も推し活ブームを踏まえたユニークな商品を打ち出している。 仏壇専門店の「はせがわ」は2023年10月から、推しに祈りをささげるステージとして「推し壇」(税込み9900円)を販売している。国産ヒノキを使い、本物の神棚と同じ技法でつくる本格仕様。20色のパターンがあるLEDライトを点灯することも可能で、推しを神々しくまつることができるという。 同社のオンラインショップなどで扱い、発売から1年で着々と販売数を伸ばした。大量生産が見込めるとして、現在の販売価格は当初から約4000円下げた。担当者は「ぬいぐるみなどを神様のように飾る様子がSNSに投稿されるなど、楽しんでもらっている」と話す。 多くの歌手らがコンサートをすることで「推し活の聖地」とされる東京ドームに隣接する「東京ドームホテル」(東京都文京区)は、開業25年の記念事業として「推し活ルーム」を新設する。推し活専門のオンラインストアを運営する「オシココ」(東京都渋谷区)と協業して、SNS上で推し活をする人に内装や設備などアンケート調査を実施。その結果をもとに部屋を作っていき、進行状況も報告する。 仕様や料金など詳しい内容は未定。同社としては珍しい試みといい、担当者は「推し活をする人の意見を反映した心に刺さるような部屋をつくりたい」と意気込む。予約が始まる25年2月下旬にはイメージを固め、4月の宿泊開始を予定しているという。【嶋田夕子】