【北朝鮮軍派兵で圧力に焦るプーチン】トランプは危うい対北外交をやるのか、リスク管理外交に転じるのか
朝鮮日報の10月31日付け社説が、朝露同盟は危険なレッドラインを越えてはならない、と述べている。主要点は次の通り。 韓国国防情報本部(DIA)は10月30日、国会に「北朝鮮とロシアとの関係が相互軍事支援を行う血盟へと発展している」、「北朝鮮はロシアの宇宙技術や先端軍事技術を求め、通常兵器の近代化を進めようとしている」と報告した。北朝鮮がウクライナとの戦闘のために数千人を超える軍兵士をロシアに派遣したと報道される中、北朝鮮外相・崔善姫は10月30日にモスクワに到着、ウクライナ派兵の見返りの条件を話し合ったとみられる。 元米大統領補佐官のデニス・ワイルダーは、北が対露派兵の見返りに原子力潜水艦や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の大気圏再突入技術を入手するリスクがあると強調する。「北朝鮮の原潜が西太平洋を航行するようになれば、すべての国にとり極めて大きな問題になる」と指摘する。韓国にとり深刻な安全保障上の脅威になる。 昨年9月、金正恩は、水中発射能力を有する戦術原子力潜水艦の進水式で「海軍の核武装化が緊急の課題だ」と述べた。現在北は水中発射核ミサイルを保有するが、原潜建造技術は欠いている。もしロシアが原潜技術を北に提供すれば、無制限の航行が可能な潜水艦に核ミサイルを搭載し海中に姿を隠すことができる。 金正恩が原潜を保有し、米国が北朝鮮の核ミサイルを100%迎撃できなくなれば、米は北に対する態度の転換を迫られる可能性が高い。米国は北の核保有を認め、一部制裁を解除し、非核化ではなくリスク管理に転じる可能性がある。これも、韓国にとり破滅的なことだ。
国防情報本部は、「11月に北朝鮮がICBMを発射する可能性がある」と報告した。北朝鮮はいまだICBMを通常の角度と距離で発射したことがなく、大気圏再突入技術はいまだ有していない。しかしロシアが再突入技術を提供すれば、それで北朝鮮の核ミサイルは完成する。それは、北朝鮮が望む米国との「核軍縮交渉」が可能になる条件が全て整うことを意味する。 金正恩が、見返りもないのに、朝鮮人民軍兵士1万人を危険な戦闘地域に送り出すことはあり得ない。今、圧力を受けて焦っているのは、ウクライナ侵略で60万人以上の死傷者を出しているプーチンだ。 プーチンは、金正恩からの要求を受け入れ、原潜、ICBM再突入技術、最新型戦闘機を譲歩として提供するだろう。しかし、このような決定は、韓国に対する意図的な敵意を表すものだ。ロシアがこうしたレッドラインを越えるのであれば、韓国は緊急の対抗措置を取らざるを得ないだろう。 * * *