考察『海に眠るダイヤモンド』8話 玲央(神木隆之介)がもう一人の主人公に!
いよいよ最終回「裏切られた」朝子(杉咲花)は果たして救われるのだろうか
事故のせいで炭鉱を失い、眠ってしまった端島。もう一度石炭を、と強く願う島民たち。鉄平(神木隆之介)の思いが現代の玲央(神木隆之介、二役)を動かし……。日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS 毎週日曜よる9時~)8話を、ドラマを愛するライター・釣木文恵と、イラストレーターのオカヤイヅミが振り返ります。いよいよ今夜最終回(2時間スペシャル)!
島民のよりどころ、鉄平の頼る先は
60年前の端島、そこで生きていた鉄平の思いが、時空を超えて現代と明確に繋がったと思える8話。これまで端島の物語を進める狂言回し的な役割が大きかった玲央が、とうとうもうひとりの主人公として輝きを放った印象的な1時間だった。 7話ではガス爆発事故によって炭鉱を海に沈めざるを得なくなった端島が描かれた。進平(斎藤工)は一酸化炭素中毒で命を落とし、一平(國村隼)は、長年鉱員として過ごしてきたことが原因で肺を患ってしまった。灯が消えたような端島。2000人が島を離れ、残った鉱員たちは石炭が本当に出るかわからないまま新たな区域の岩盤を掘り進め、住人たちはただただ祈る。 そんな状況で、しかも「噂が回るのが早い」端島で、鉄平と朝子(杉咲花)はあけっぴろげに交際することができず、長崎でこっそりとデートをしている。 「みんながどん底のこんな時に浮ついておれんよ」 「デートして楽しそうな人に明日の生活の心配を相談でくん(できる)ね? 誰にも相談できんけんが鉄平のところに来ると」 「誰かの幸せな話も悪か話も、今はどっちも毒んなる」 そう朝子が話すように、石炭の出ない端島では、島全体が不安に覆われている。その中で外勤である鉄平は、みんなのよりどころになっていた。けれど、鉄平の悩みを聞いてくれる人はいなかった。親友である賢将(清水尋也)にも、胸の内を明かせなかった。だから、鉄平は朝子の前から姿を消すことしかできなかった。「石炭が出たら必ず」。その先の思いをお互いに確信しながらも言葉にしなかった二人は、そのまま別れることになってしまった。