「一体どこがビジネスバイクなのか!?」お蔵入りになったホンダ125ccスクーターの真相
真面目なお題に対し、フリーダムすぎる提案
中野の提案に対して、Nプロメンバーはワイガヤを行い、『Nプロらしさ』を再確認した。そのいくつかを抜粋するが、このことで『中野さんの話した内容と、メンバーの思うNプロらしさに矛盾はない』という結論になったという──いや、本当に矛盾はないのか? と感じるところもないわけではないのだが、まあそれはよしとしよう。 ・メンバーが決めて出したらすべてがNプロらしい ・若者向けでメジャーじゃないモノ ・「そうきたか!」と言わせる ・個性的な、驚かす ・若者開発集団、勢い、ぶっ飛んだ感性 ・ユーザーに、いつもと違うと思われる ・優等生じゃなくて、ワリキリあざやか 中野の問いかけは「本当に思いっきり新しく自由に跳べていますか?」ということだとメンバーは認識した。そして仮説の組み立てと、例によって得意の現場リサーチを行った。そこから導き出されたビジバイのテーマは『渋原で働いている若者のカッコよさを表現する』ことだった。 ・目標やこだわりに信念を持って行動・努力しているからカッコイイ ・自分のモチベーションを生活の中で表現するからカッコイイ ・夢を持って皆夜遅くまで頑張っているからカッコイイ これが、トレンドエリアで働く若者がカッコイイ理由であり、「我々が作るべきはそういう人間がカッコよく乗るバイクである」ということになった。テーマはビジネス=ユーティリティー、通勤=機動性だ。そしてこれを以下の3方向のコンセプトで表現しようと、Nプロ内を4つのグループに分け、アイデアコンペを行ったのだ。 1.ビジネスのユーティリティをレジャーバイクの構成で表現『アソビジ』 2.本職用業務車両『マジビジ』 3.通勤における機動性にフォーカスした『ファミリースポーツエクストリーム』 4つのグループからA、B、C、Dのアイデアが出てきたが(それぞれのデザインスケッチは画像ギャラリー参照)、A~Cまでは同じようなスタイルで、商用車的な印象を脱しきれていなかった。 このため、ある意味『おいおい、本当にこれで良いのか?』という、かなり素っ頓狂とも言えるスタイルのD案が『そのインパクトに、お客様の想像を超える“何か”を感じた』として、採用に至ったのである。 A~Cが収納ボックスを装備した箱モノのアイデアだったことに対して、ロー&ロングの車体で大きな積載スペースを設けたD案は、あまりにも斬新だった。 「ホンダは郵政カブや新聞カブ、さらには長年に渡る白バイの納入実績があることから、新しいビジバイの開発では、それらを否定することから入った。今までと視点を変えることで、Nプロらしい新しい創造を意識した。結局、4つのグループはそのアイデアの違いで1:3に分れたのだが、既存のビジネスバイクとは大きくかけ離れたD案に対して中野さんが一定の評価を下してくれたのがよかった」と言うのは、NP-6を発案しプロデュースした出羽圭吾(本来はブレーキテスト担当)。 もちろん、D案を考えたのは出羽のグループだった。