【40代、50代・二十四節気の養生】6月21日 昼が最も長い「夏至」には気を巡らせて
踏み台昇降などで下半身をしっかり動かして!
「この夏至の頃には、東洋医学の『陽』の気質がかなり強くなります。気温も上がって暑いのですが、多湿のせいか上手に汗をかけないことが多く、体内に余分な水分が滞りがちに。 そのため頭が重くなり、頭痛や回転性のめまいなどの気象病、吐き気、関節痛、むくみなどの症状が出やすくなります。 こうした不調には、『気』を全身に巡らせることが大切。雨が多いので、屋外での運動は向きませんが、室内でできる限り足をよく動かすようにしましょう。踏み台昇降や階段の上り下りなどで、特に足首をよく動かします。 こうした運動や半身浴などで、しっかり発汗させて水分代謝を高めることを意識してください」
旬のみょうがやしその殺菌効果で胃腸炎の予防も!
「水分代謝を高める食品は、カリウムが豊富なとうもろこし、そら豆、きゅうり、冬瓜など。薬膳でも体内の水を巡らせる食材として重宝します。 湿度が上がるこの頃は雑菌も繁殖しやすいので、胃腸炎、湿疹や水虫などの皮膚のトラブルも増えてきます。旬であるみょうがやしそ、しょうがには殺菌効果があるので、これらを上手に食卓に取り入れるといいでしょう。 6月末日には、神社では『夏越の祓(なごしのはらえ)』として『茅の輪(ちのわ)くぐり』※などで、身を清めて、無病息災を祈願する行事が行われます。 京都では、この時期に『水無月(みなづき)』という和菓子を食べる風習があります。これは、体に涼をもたらす氷を模した白い三角形のういろうに、邪気払いの意味を込めた小豆をのせたものです。小豆にはタンパク質をはじめ、食物繊維、ビタミンB1、カリウムや鉄分などのミネラルも豊富。水の代謝を助け、疲労回復に役立ちます。 こうした伝統行事には、その時期の養生の知恵が反映されています」 ※茅の輪とは茅(ちがや)という植物で編んだ直径数メートルの輪のこと。神社の境内に設置されたこの輪を、唱え詞を唱えながら8の字を書くように3度くぐって無病息災を祈願する神事。
【教えてくれたのは】 齋藤友香理さん 薬剤師・薬日本堂漢方スクール講師。東京理科大学薬学部卒業後、薬日本堂入社。10年以上臨床を経験し、平成20年4月までニホンドウ漢方ブティック青山で店長を務め、多くの女性と悩みを共有した実績を持つ。講師となった現在、薬日本堂漢方スクールで教壇に立つかたわら外部セミナーも担当し、漢方を学ぶ楽しさを広めている。また「養生を指導できる人材」の社員育成、『薬日本堂のおうち漢方365日』『薬膳・漢方検定 公式テキスト』など、書籍監修にも多く携わっている。 イラスト/河村ふうこ 取材・原文/山村浩子