平昌パラ五輪開幕。日本の注目選手は? 成田3兄弟の末っ子、緑夢も挑戦
今大会から正式競技となったスノーボードも注目だ。 速さとターン技術などが問われる、スノーボードクロスとバンクドスラロームの2種目が行われる。選手は上肢障がいと下肢障がい(膝上/膝下)の3クラスに分かれて競う。 日本からは3選手が出場する。膝下障がいクラスの成田緑夢(ぐりむ=24、近畿医療専門学校)は兄の童夢氏と姉のメロ氏が2006年トリノオリンピックに出場した「成田3兄弟」の末っ子。オリンピックを目指していた練習中の事故で、19歳のとき左脚に障がいを負い、パラスポーツに転向した。今季のワールド杯では何度も表彰台に上がっている。 「見てて『楽しかった』『ハラハラした』と言われるようなパフォーマンスをしたい。スタートダッシュが得意なので先行逃げ切りのレースをしたい」 世界ランキング1位の実力を大舞台で見せたい。 また膝上障がいクラスの小栗大地(37、三進化学工業)は元々、プロのスノーボーダー。仕事中の事故で右脚を失ったが、パラスノーボードで競技復帰を果たした。 「パラリンピック出場とともに、スノボができることも嬉しい。元々、カービングターンを武器としている。ベストなパフォーマンスをしたい」という。 同クラスの山本篤(35、新日本住設)も「夏冬二刀流」で、2016年のリオパラ五輪の陸上走り幅跳びの銀メダリストだ。 「夏の大会は3度経験しているが、陸上と違うのはスノーボードはコースが会場によって異なること。平昌コースの重要なポイントをしっかりと覚えて臨みたい」 高校時代に事故で左脚を失う以前から取り組んでいたスノーボードでも世界に挑む。 氷上の格闘技とも言われるアイスホッケー。パラリンピックでは下肢に障がいのある選手がスレッジと呼ばれる専用のそりに乗り、手に持った2本の特製スティックでスレッジを漕ぎ、パックを打つ。アイスホッケーと、ほぼ同じで、ボディチェックもあり迫力満点だ。 パラリンピックでは世界トップ8が激突する。2010年バンクーバー・パラ五輪銀メダルのメンバーが半数以上残る日本代表は「平均年齢約42歳」が話題となっているが、須藤悟主将は「平昌入り後、チームの調子もゲームスピードも上がってきている。雰囲気もいい。このまま試合を迎えたい」と、手ごたえを感じ取っている。2大会ぶりの大舞台では、豊富な経験と培ってきたチームワークと磨いたパス技術で、グループリーグで大会3連覇を狙うアメリカ、国を挙げて強化に力を入れてきた世界ランキング3位の韓国に挑む。 個性あふれる選手たちがそれぞれの目標を胸に自身の限界に挑戦する舞台。選手たちは、競技がスタートする10日から9日間に渡って走りつづける。 (文責・星野恭子/スポーツライター)