『呪術廻戦』主人公・虎杖悠仁の「強い動機はないキャラ」が示唆する大事なこと
マスメディアでよく耳にするようになった、「Z世代」というキーワードとその特徴。何となくわかるようでわからない、という上の世代は多いのではないだろうか。現在、世の中を動かす「推し活」という文化を紐解いていくと、Z世代への理解が深まるという。本稿は、保手濱彰人『武器としての漫画思考』(PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。 【この記事の画像を見る】 ● 『呪術廻戦』の主人公から 「Z世代」の若者を解析する マスメディアでよく耳にするようになった、「Z世代」というキーワードとその特徴。何となくわかるようでわからない、という上の世代は多いのではないでしょうか。 この世代がどのような感覚や価値観を持って生きているのか、今や世の中を動かす「推し活」という文化を中心に、Z世代への理解が深まるように解説していきます。 超ヒット漫画『呪術廻戦』の主人公、虎杖悠仁は、ごく普通の高校生(といっても身体能力が異常に高いなどの特徴はある)。何か強いモチベーションがあるわけでもなく、でも自分が放っておいたらたくさんの人が死ぬという状況に陥ったことから、「生き様を貫きたい」という理由で、ごく自然と、人助けをしていきます。 ここに、強い動機は存在しません。というか、必要がないのです。 人として当然。 おじいちゃんに言われたからそうする。 そうしなければ自分が後悔する。 そのような自然なモチベーションに導かれて、自分の行動を決定していきます。これがZ世代の「一つ目の特徴」で、たとえば「スキ」と思えるものができたら、彼らは純粋にそれと向き合っていく。そして、いったん好きになったら、彼らはとことんそれを追求します。 「沼」という単語もまさにそれですね「沼る」という言い方もします。 普段は自然体でこだわりがない分、好きなことや応援したいものには、とことん時間とお金を費やす。まさに、現代の若者の「特徴その2」と言えますね。 これをビジネスシーンに置き換えてみましょう。 彼、彼女たちに「この組織では、それが当たり前だから」と言っても、そこに意味を見出せなければ、Z世代は絶対に従いません。 けれども、自分が「スキ」と感じるような人のためには、自己犠牲を厭わないのです。好きなアイドルのために何十枚とCDを買ってしまうのは、まさにその典型です。 したがって、Z世代をマネジメントするリーダーの方々は、「若者の価値観を理解し、自然と導いていく」という姿勢が重要となります。