お好みスタイルが今っぽい。外苑前の人気和食「いち太」が「太いち」として心機一転
一方、人気の高いカレー南蛮は、いわゆるそば屋の昔ながらのカレーそば。とろみのあるあんかけスタイルで、今どきのスパイスカレー的なアレンジがないところがかえって好ましい。具は長ねぎと玉ねぎと至ってシンプル。さりげなくだしのうまみを感じさせるのは、割烹ならでは。〆の一杯として相応しい。
さて、ここで中締め。もちろんこれでフィニッシュでも構わないが、お腹に余裕がある方には、第2弾のお楽しみ“アラカルト”が待っている。「コースは、割烹料理店らしい少し手の込んだ料理をお出ししていますが、アラカルトはわかりやすいストレートな料理にするようにしています」という佐藤さんの言葉通り、献立には「蛤酒蒸し」や「だし巻き」「鮑唐揚げ」といった居酒屋風のメニューから「ハンバーグ」や「海老フライ」などの洋食の味まで幅広い品ぞろえ。ボーダーレスなラインアップに食指が動く。
ご指名率No.1は、やはりハンバーグ。「普通の合いびき肉のハンバーグなんですけどね」。そう言って笑う佐藤さんだが、そこはプロ。隠し味に豆腐を入れてふんわりとした食感に。ひき肉の状態によってその都度調整しているのだとか。肉汁を生かしたソースがご飯を呼ぶ、どこか家庭的なおいしさだ。
アルコールは日本酒、ワイン共に充実。ワインは、ブルゴーニュが中心。シャンパーニュもざっと35種類ほどがそろっている。
「うちではセラーがメニュー代わり」と佐藤さん。ワインのボトルには、それぞれ値段が記されてあり「お客様に自分で好みのボトルを選んでいただくようにしています」とのことで、実際にボトルを眺めながら、何を飲もうかと迷う時間もワインラバーには至福のひとときでは? 自分スタイルで楽しめる百戦練磨のフーディにおすすめしたい一軒だ。
太いち
住所: 東京都港区南青山3-4-6 AOYAMA346 102 TEL: 03-6455-4023
撮影:佐藤潮 文:森脇慶子、食べログマガジン編集部