お好みスタイルが今っぽい。外苑前の人気和食「いち太」が「太いち」として心機一転
新しく始めたコースは次の通り(取材日)。料理5品+そば(おかわり付き)で2万円(税・サービス料込)となっている。
1. 薯蕷羮 塩水雲丹 蓴菜 2. 淡路の鱧の揚げあんかけ 3. お造り 4. ズワイ蟹の飯蒸しキャビアのせ 5. 天然鰻の照り焼き 見た目も涼やかな薯蕷羮は、長芋と山芋を寒天で寄せ、冷やした鰹だしをかけた一品。擦りおろした山芋のねっとり感と千切りにした長芋のサクサクした食感が実に妙味。ガラスの器に浮かぶ蓴菜と共に口中に涼風を誘う。
続く淡路の鱧は、てっきり“落とし”か“牡丹鱧”で出されるかと思いきや、衣揚げでお目見え。鱧の上には自家製の梅肉がのり、下には香り豊かな青海苔餡を敷いてある。揚げたての鱧は、外はカリッと香ばしく、中はほわっと軽やか。それも、高温の油で短時間に揚げればこそ。淡白な鱧も、茹でて水に晒す“鱧の落とし”に比べ、うまみがギュッと閉じ込められている。
続くお造りや飯蒸し、鰻の照り焼き等々も、一皿一皿の量がしっかり。何を食べたかがきちんと心に残るボリューム感も食いしん坊の身にはうれしいところだろう。これら5品にそばを食べれば、大概のお腹は満たされるはず。そのそばも、冷・温合わせて10種類がそろう中から好きなメニューを2品選べるというのだから、気分も上がろうというものだ。
シンプルにせいろとかけでいくもよし、さっぱり仕上げたい向きなら冷かけと梅おろしという選択もおすすめだ。人気があるのは、納豆そばとカレー南蛮だそうで、今回は、人気メニューのカレー南蛮と、そば本来の味がよくわかるスタンダードなせいろの2種にした。
そばは十割。茨城の常陸秋そばのこともあるそうだが、取材時は、力強い味わいの福島・会津産のそば。本節と荒節のだしを利かせキリッとした中にも柔らな甘みを感じさせる辛汁と歯切れ良いそばとのバランスの良さも上々だ。そばを楽しみに訪れる常連が多いのも頷ける。