「木登りも刃物で工作もOK」禁止事項を減らし子供が自由に遊べる公園
街の中から、子供の楽しげな声が聞こえることが少なくなっています。少子化もその要因ですが、公園が「子供の遊び場ではなくなっている」こともその一つです。公園が遊び場ではなく、単なる空間と化してしまった理由はさまざまですが、息苦しくなっている公園に反して、親たちからは子供が自由に遊べる場をつくろうとする動きも出てきています。東京・世田谷区の「羽根木公園」に開設されているプレーパークの事例をみてみましょう。
「子供たちが自由に遊べる場を」NPOが運営
従来、公園は誰もが自由に利用できる公共空間として整備されてきました。特に、公園のヘビーユーザーが、子供たちです。子供たちは、駆けっこをしたりボール遊びに興じたり、はたまた大人が思いつかないような独創的な遊びをしています。 ところが最近の公園では、「ボール遊びは禁止」「自転車で走ってはいけない」「犬を散歩させてはいけない」「騒いではいけない」といったように、禁止事項があふれています。その結果、公園は子供たちが気兼ねなく遊べる場ではなくなってしまったのです。
東京・世田谷区にある羽根木公園には、「羽根木プレーパーク」と呼ばれる一画があります。羽根木プレーパークは、“子供たちが生き生きと自由に遊べる場”を目指して、地域住民や学生、ボランティアが活動をしたのがはじまりです。区が活動を支援する形で、1979年には羽根木公園の一画にプレーパークが正式に開設されました。 羽根木公園は区立公園ですが、プレーパークはNPO「プレーパークせたがや」が運営・管理しています。プレーパークは禁止事項をできるだけつくらない方針にしています。広報運営委員を務める首藤万千子さんは、こう言います。 「プレーパークでは木に登ったり、物置小屋に登ったりすることは日常的です。たき火をして焼き芋をつくったり、みんなでカレーをつくったりすることもありますし、ノコギリやトンカチを使って竹細工、工作をすることもあります。自由に遊んでいるので、ケガをしてしまう子供もいます。しかし、親も子供たちを自由に遊ばせたいという思いが強く、『責任を取れ』と言われることはありません」