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防犯ブザーだけでは意味ない?「20メートル走り切る」「はっきり断る」親子で対策 #こどもをまもる

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入学・進学の時期が近づいた。登下校や塾通いなど、子ども同士や1人きりで行動する機会が増える中で、気がかりなのが子どもの防犯だ。

「警察白書」によると、子どもの犯罪被害件数は全体として減少傾向にあるが、暴行や傷害は10年前と比較すると増加傾向にあり、強制性交等や略取誘拐は2018年以降100件以上発生し続けている(2021年時点)。親の目が届かない所で子どもに危険が及ばないように、家庭でどのようなことができるか。Yahoo!ニュースに寄せられたコメントを踏まえ、親子でできる対策をまとめた。(Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部/監修:清永奈穂)

この記事、ざっくりいうと?
  • 子どもの頃被害に遭った親の体験談が多く、防犯対策への不安もある
  • 6メートル、20メートル先を見てしっかり歩くと、危険を回避しやすい
  • 「いやです」「だめです」とはっきり断ることで犯罪者の7~8割が諦める

みんなの「ヒヤリ体験」と「防犯対策」

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【みんなで考えよう】犯罪から子どもを守るため、どんな対策をしている?危ないと感じた経験も教えてくださいのコメント欄(2023年2月2~5日、計181件)には、子どもの身を案じる親の声が寄せられた。


危険を感じた経験談の中には、親の子ども時代の体験が多く寄せられた。「幼少期から学生になるまで、何度も性被害にあった」「塾帰りの夜『アルバイトしない?三万でどう?』と声をかけられ地下道を追いかけられた」などの声があった。「被害を受けた側は一生その光景がこびりつく」というコメントもあった。
また、自分の子どもについては「小学生の娘が、『おじさんが遊びにおいでといってきて、自分は怖くて帰ったが、友達はまだその家にいる』と泣きながら話してきた。バットを持ってその家にダッシュし、友達を連れて帰った。もしかしたら本当にいい人だったかもしれないけれど......」などの体験談もあった。


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家庭での防犯対策では、「防犯ブザー」を持たせている声が多く、「子どもが不審者に車に乗せられそうになった時、防犯ブザーを鳴らしたら逃げて行った」と危険を回避できたコメントもあった。他には、「下校班が解散する場所まで迎えに行く」「自治体の声かけ事案を毎日チェックしている」「GPSで子どもの通学を見守っている」といった対策が挙がっていた。
また、「どう対策すればいいかわからない」といった懸念も見られた。


コメント欄の言葉 ワードクラウドで分析

ワードクラウドの画像

コメントには、どのような言葉が使われていたのだろうか。
コメント欄で特徴的に使われている単語を選び出し、その単語の重要度が高いほど大きく表示される「ワードクラウド」を使い、可視化した。「防犯ブザー」が最も目立ち、「gps」「下校」「性犯罪」などが目を引く。コメントには、防犯ブザーとGPSの両方を活用しているという声が多数見られた。一方で「防犯ブザーやGPSは最終的な手段で、安心はできない」という意見も見られた。「性犯罪」は、「日本は性犯罪への刑罰が軽すぎる」「性犯罪とは何かを子どもに教える必要がある」といった文脈で使われていた。


防犯のこと、子どもにどう伝える?

子どもの安全を守るため、親は子どもにどのようなことを伝えればいいのだろうか。
20年以上にわたり、子どもの安全研究をおこなっている清永奈穂さんに聞いた。

清永奈穂

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清永奈穂さん
清永奈穂さん
まずは子どもに「あなたのことがとても大事」と伝えることが大切です。親から愛されていることが伝われば、自分の命を大切に思い、将来的に他者を思いやる力にもつながります。年齢に関係なく、中学生、高校生になっても伝え続けてほしいです。その上で、個人情報の伝え方や留守番の約束など、家庭で防犯ルールを決めるといいと思います。

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清永奈穂さん
清永奈穂さん
キョロキョロして落ち着きがなかったり、心ここにあらずの状態でフラフラしたりしている子どもは、性別や年齢に関係なく、わいせつ行為やかっぱらいなどの被害に多く遭っています。隙を見せないように、しっかりと前を見て歩くことが大事です。
子どもの視野は狭いため、周囲を把握するためにキョロキョロしてしまうこともありますが、「周りによく注意してね」と言い聞かせましょう。

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「ステップ総合研究所」の調査によると、犯罪者の多くは20メートル先から狙いを定めることがわかっているという。


清永奈穂さん
清永奈穂さん
犯罪者は徐々に子どもに近づき、6メートル手前から一気に飛びついてきます。
子どもの6メートル手前から大人が追いかける実験をしたところ、小学低学年の子どもがランドセルを背負ったまま20メートル逃げ切ることができました。20メートル先、難しければ6メートル先を見て歩くことで、早くから危険に気づき、犯罪に遭うリスクを減らすことができます。

こんな場所に注意しよう〜犯罪が起こりやすい場所

清永さんによると、犯罪者は、子どもに近づきやすく逃げやすい場所でやる気になり、犯行に及ぶという。
そのような危険な場所には、どんな特徴があるのだろうか。

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清永奈穂さん
清永奈穂さん
危険な場所は「ひまわり」という言葉で覚えます。子どもと通学路などを散歩しながら、上の図のような危ない場所がないか探してみてください。その時に、「安全な場所」も一緒に確認しておくと、いざという時に安心です。よく知っている人の家や「子ども110番の家」、コンビニエンスストアなどをチェックして、危険を感じたら、とにかく一番近い安全な場所に駆け込むようにしましょう。

怪しい人に声をかけられたら、どうすればいい?

もし子どもが怪しい人に声をかけられたり、被害にあったりしたら、どのように対応すればいいだろうか。

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清永奈穂さん
清永奈穂さん
しつこく話しかけてくる人や接近してくる人、じっと見つめてくる人などの怪しい声かけに対しては、「いやです」「だめです」「いきません」とはっきり断ることが重要です。小学高学年くらいからは「大人の人を呼んできます」「110番しますよ」といったことも言えるようにしましょう。答えは短く。それ以上、言葉を交わしてはいけません。犯罪者は捕まることが怖く、内心ビクビクしています。断られることで、犯罪者の7〜8割が諦めるという千葉県警や愛知県警の調査結果もあります。
断ったらすぐにその場を離れましょう。怪しい人の顔つきが急に変わったり、ぐんと近づいたりしてきたら、ランドセルを捨ててでも全力で逃げましょう。20メートル走って追いつかれなければ、犯罪者は諦めることが多いと言われています。

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清永奈穂さん
清永奈穂さん
いざという時は、周りの人を頼ってもいいことを伝えましょう。「私たちの周りに悪い人はほとんどいない。知らない人であっても、多くの人はいい人だよ」と教え、子どもの人を信頼する心を培うことが大事です。
子どもが被害に遭ってしまった時に、親に話すことができるかどうかもとても大切なことです。 日ごろから学校の出来事など子どもの話を聞くようにして、親子で話しやすい雰囲気を作っておきましょう。「いつ、どこで、どんな人に、何を言われたか、どんなことがあったか」を聞き、親は決して子どもを責めずに「話してくれてありがとう」という気持ちで接しましょう。

親子の会話や遊びを通じて防犯教育を

最後に、防犯教育を日常に取り入れるためのアドバイスを清永さんに伺った。


清永奈穂さん
清永奈穂さん
子どもを守るためには、良好な親子関係が不可欠です。子どもの年齢が上がっても「大事に思っている」ことを伝え、子どもの話を聞くようにしましょう。防犯ブザーやGPSを渡す時などは、「いつも見守っているからね」と言葉をかけ、信頼関係を築くことが大切です。
防犯対策は、日々の会話や遊びの中に取り入れることができます。
追いかけっこをする時に20メートル走り切ることや、遠くから「お父さん、お母さん」と大声で呼ぶことも、いざという時に大声を出す練習になります。怪しい人に「いやです」とはっきり言うことは難しいかもしれませんが、親子で危ない場面をシミュレーションし、何回も練習すればできるようになります。幼児期から少しずつ実践し、家庭に取り入れていくといいと思います。



「#こどもをまもる」は、Yahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の一つです。 子どもの安全を守るために、大人ができることは何か。対策や解説などの情報を発信しています。

特集ページ「子どもの安全」(Yahoo!ニュース)

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