補足北朝鮮は中露のどちらかではなく、両国との関係を同時に深めようとしており、中露も北朝鮮に対する影響力において競合しているわけではない。現在でも、朝中関係は朝露関係とは比較できないほど「幅」と「深度」があり、これが逆転することは考えられない。朝中両国も、北朝鮮にとって中国が最重要のパートナーであることを自覚している。中国が朝露の軍事関係の発展を歓迎しているとは言い難いが、同時に「我が国ができないことを、朝露両国がやってくれている」と受け止めている可能性もある。このため、北朝鮮は、外交・経済においては中国、軍事と一部の経済交流においてはロシアと、ニーズに応じて使い分け、今後は中国との関係の更なる発展も試みるのではないか。
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コメンテータープロフィール
東京大学先端科学技術研究センター特任助教。長野県佐久市出身。専門は防衛政策、安全保障、国際政治、比較政治、交通政策。オーストラリア国立大学アジア研究学部卒、同大大学院戦略防衛研究科修士課程修了(豪)、ニューサウスウェールズ大学大学院キャンベラ校人文社会研究科博士号取得(豪)。パシフィックフォーラム研究フェロー(米)、ムハマディア大学マラン校客員講師(尼)、釜山大学校経済通商大学国際学部客員教授(韓)を経て、2021年8月より現職。主著に『Defense Planning and Readiness of North Korea: Armed to Rule』(Routledge, 2021)。