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山田吉彦

山田吉彦認証済み

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海洋問題研究者/東海大学海洋学部海洋理工学科教授

報告

補足2016年、国際司法機関である常設仲裁裁判所は、フィリピンの訴えを受け、中国の主張する南シナ海支配は、根拠の無いものと判断を下した。スカボロー礁は、フィリピンのルソン島の沖約230キロメートルに位置し、フィリピンの管轄下にあるとするのが妥当だろう。しかし、中国は実効支配体制を進め、国際法を無視し自国の法のもと権利を主張したのである。中国の憲法には、国際法を遵守すべきとする規定はなく、国内法を優先し国際社会へ挑んでいる。 中国は、スカボロー礁から領海基線を引くことで、領海の主張を明確にし、海警局の武装と海軍力をもって、同礁とその周辺海域を「海洋領土」に組み入れたのである。 中国は、東シナ海において尖閣諸島の領有権を主張している。いずれ尖閣諸島においてもスカボロー礁と同じような領海基線の設定を行い実力行使にでることも考えられる。日本国政府は、尖閣諸島の管理体制を強化する必要がある。

コメンテータープロフィール

山田吉彦

海洋問題研究者/東海大学海洋学部海洋理工学科教授

東海大学海洋学部教授。1962年千葉県出身。学習院大学経済学部卒後、金融機関を経て日本船舶振興会(現日本財団)に勤務。勤務の傍ら埼玉大学大学院博士課程修了。博士(経済学)。2009年東海大学教授。海難審判庁業務改善委員会委員、国土交通省海洋政策懇談会委員、東京都専門委員などを歴任。八重山自然大使。海洋コメンテータとして各種メディアで海洋問題を解説。著書、日本の国境(新潮新書)ほか多数。

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