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鶴岡路人

鶴岡路人

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慶應義塾大学総合政策学部准教授

報告

解説現段階では詳細と確度が不明な情報だという他ない。ウクライナの「非ナチ化」や「非軍事化」といった戦争目的に変化はないと繰り返していたロシアの立場との整合性が不明な他、全面侵攻前のラインまでの撤兵を受け入れるとすれば、現在の占領地は交渉の対象にならないという従来の主張とも大きく異なりそうだ。領土に関しては、東部・南部4州をロシア領土として憲法にも書き込んでしまったこととの関係もある(そしてロシア憲法は領土の割譲を禁止している)。しかも、軍事的に優勢にあるなかでロシア側に戦闘を停止する動機は乏しいはずだという事情もある。 こうしたことから、報道内容には懐疑的にならざるを得ない。ロシアは平和を欲しているのにウクライナが拒否しているかのような言説を作るための工作だとすれば、騙されてはいけない。

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  • 岡部芳彦

    神戸学院大学経済学部教授/ウクライナ研究会会長

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コメンテータープロフィール

鶴岡路人

慶應義塾大学総合政策学部准教授

専門は国際安全保障、現代欧州政治。慶應義塾大学法学部卒。同大学大学院、米ジョージタウン大学大学院で学び、英ロンドン大学キングス・カレッジ戦争研究学部で博士号(PhD)取得。在ベルギー日本大使館専門調査員(NATO担当)を経て、2009年から2017年まで防衛省防衛研究所教官、主任研究官。その間、防衛省防衛政策局国際政策課部員、英王立防衛安全保障研究所(RUSI)訪問研究員等を務める。2017年から現職。著書に『欧州戦争としてのウクライナ侵攻』(新潮選書、2023年)、『EU離脱』(ちくま新書、2020年)等。また、2023年から2024年までオーストラリア国立大学(ANU)訪問研究員。

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