詐欺罪は、社会情勢に応じて様々な態様で行われてきた犯罪類型です。震災直後の地域では、「復興詐欺」といったものも見られます。コロナ禍の中での給付金や還付金をうたった詐欺罪も、市民の窮状に付け込むという意味で、これらとよく似た現象だといえるでしょう。 記事にあるとおり、昨年4月から特殊詐欺に対する警察の担当部署が変更になっているようです。従来、詐欺罪は「知能犯」として、経済犯罪などを取り扱う捜査2課が担当していたのですが、特殊詐欺罪は暴力団などにより組織的に行われるという特徴があるため、組織対策犯罪対策としての取組みをしていこうというわけです。 組織的に実行される特殊詐欺に関しては、事件の全容および詐欺グループと既存組織との結びつきの解明が不可欠であり、警察の実効的な活動が期待されるところです。
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コメンテータープロフィール
旅行会社勤務を経て29歳で立命館大学に入学し、3年生の時に司法試験に合格。卒業後は京都大学大学院法学研究科に進み、刑事法を専攻。2005年に近畿大学法学部専任講師となり、現在は教授。2011年から2012年にかけて、ドイツ・アウクスブルク大学客員教授を務める。専門は刑事法全般(特に刑事訴訟法)。著書は、『刑事訴訟法』、『刑事手続における審判対象』、『刑事弁護の理論』(全て単著)。法学博士。趣味は洋画鑑賞、水泳、見る将(大山・中原時代からの筋金入り)。