解説知事の資質を問われた形で不信任決議を突き付けられた斎藤氏は、このまま黙って知事職を離れるのだろうか。 地方自治の歴史上初めての全会一致で可決した不信任案は、県議会の総意である。そして、県議会はもちろん県民によってえらばれている。つまり、県民の民意は知事の不信任を選択した。 知事の資質が問われているのに、県議会を解散するというのは筋が通らない。今後のいずれのシナリオでも知事選だけは避けられない。知事応援派が県議会の過半数となる可能性も現実には低い。単に16億円ともいわれる血税を無駄に使用するだけだ。 コストカットを主張する知事であれば、知事応援派が過半数となる可能性の低い議会解散ではなく、不可避となる知事選で県民に信を問うべきではないか。 もっとも、その場合も18億円ともいわれる費用は掛かるのだが、それも議会選挙というさらなる出費を回避するための民主主義のコストといえるのかもしれない。
コメンテータープロフィール
日本政治法律学会理事長。博士(政治学)。日本の政治、選挙、政策変容を中心に、それとの比較で海外の政治変容にも関心を持つ。東京、地方での講義、講演、出演依頼は可能な限り喜んで引き受けている。というのも多様な地域の大学での研究、講義経験や、政治家、ジャーナリスト、研究者、市民からの示唆は、自分の糧であり、その交流は喜びである。国内では静岡大学助教授、長崎県立大学専任講師、海外では英国オックスフォード大学ニッサン日本研究所、オックスフォード大学ペンブローク・カレッジ客員フェロー、ドイツ連邦共和国マンハイム大学客員教授、ノルウェー王国オスロ大学客員研究員等、学会では日本政治学会理事なども歴任した。