解説エリザベス前女王が最後に任命したトラス前首相が議席を失ったことに象徴されるように、このイギリスの選挙は歴史的な選挙となった。 小選挙区制は、有権者の「スウィング」によって、票が大きく動くことがあり、その「スウィング」は今回は、現在の政権与党の保守党ではないほう、つまり労働党に動きその勝利を確実とした。 一人しか選挙区から勝利しない小選挙区制では、同じ傾向のイデオロギーを持っている政党、候補者がいる場合には、票が分散してしまい、当選ラインに到達しないことが起こる。 今回の選挙で、保守党は、自由民主党とリフォームUKという、二つの非労働党系の政党の台頭を許し、そこで多くの選挙区でこれらの政党が票を奪い合うことで労働党が漁夫の利を得たということができる。 特にリフォームUKという、「英国独立党」「ブレグジット党」を率いたファラージ氏の新たな政党が躍進し、氏が議席を獲得したことは注目される。
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コメンテータープロフィール
日本政治法律学会理事長。博士(政治学)。日本の政治、選挙、政策変容を中心に、それとの比較で海外の政治変容にも関心を持つ。東京、地方での講義、講演、出演依頼は可能な限り喜んで引き受けている。というのも多様な地域の大学での研究、講義経験や、政治家、ジャーナリスト、研究者、市民からの示唆は、自分の糧であり、その交流は喜びである。国内では静岡大学助教授、長崎県立大学専任講師、海外では英国オックスフォード大学ニッサン日本研究所、オックスフォード大学ペンブローク・カレッジ客員フェロー、ドイツ連邦共和国マンハイム大学客員教授、ノルウェー王国オスロ大学客員研究員等、学会では日本政治学会理事なども歴任した。
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