解説プーチン大統領が右腕のショイグ氏を国防相職から交代させたのは、戦況の打開とともにソ連崩壊の二の舞を回避するための方策という意味合いがあるのだろう。 ソ連邦は1979年からのアフガン侵攻と米ソ冷戦によって、軍事偏重の予算編成となり、国家経済が麻痺。ゴルバチョフ氏のペレストロイカ(立て直し)の断行は功を奏せず、91年に崩壊した。 「ソ連崩壊は20世紀の地政学惨事」。そう言ったプーチン氏はこれまでもソ連を国家運営の反面教師にしてきた。 しかし、ウクライナ侵攻により、露は再び軍事偏重の国家財政となり、国防省幹部らの汚職も引き起こされている。防衛関連分野の予算編成は全体の6.7%とソ連時代に近づいているという。 ベロウソフ氏はプーチン体制で要職を務めた優秀な経済テクノクラート。防衛利権に大ナタをふるうのだろう。 しかし、戦争停止が最大の処方箋だ。早期停戦に持ち込みたいプーチン政権の意図がすけてみえる
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コメンテータープロフィール
岩手県一関市生まれ。大阪外国語大学ロシア語学科(現・大阪大学)卒業後、産経新聞社入社。モスクワ支局長、リオデジャネイロ支局長を経て、運動部次長、社会部次長などを歴任。2021年より現職。専門分野はロシア・旧ソ連諸国情勢、国際情勢に加え、オリンピック・パラリンピック、捕鯨問題などにも詳しい。フィギュアスケート関連ではNumberなどにも寄稿。単著に「シー・シェパードの正体」(扶桑社新書)「環境テロリストの正体」(新潮新書)。近著は「動物の権利」運動の正体(PHP新書)