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西田亮介

西田亮介

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社会学者/日本大学危機管理学部教授、東京工業大学特任教授

報告

国際卓越研究大学事業は、もともと5校程度と目されていたところ、東大、京大、東北大とタイムズ・ハイヤー・エデュケーションという有力ランキングの上位から3校が選ばれ、文科省の急な呼びかけのもと準備、応募した多くの大学はずっこけた。こうした応募に際しては職員のみならず、有力教員も多く駆り出され、膨大な手間をかけることになる。むろんそれらの研究者と大学では研究に投じるべきリソースが削がれることになるわけだが、いずれ追加公募があるとしても多くの大学で無駄骨が折られたことになる。これなら、指定国立大学法人制度を拡大して、世界ランキング上位の大学を特別国立大学法人等に指定して資金面の支援をすればよいような例外的な話にも思える。本件も、ファンドを運用することで、通常予算の外に別立てで「安定的な」予算を確保しようと目論んだ奇策だが、風向きが怪しい。文科省には費用対効果という概念がないのかもしれない。

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コメンテータープロフィール

西田亮介

社会学者/日本大学危機管理学部教授、東京工業大学特任教授

博士(政策・メディア)。専門は社会学。慶應義塾大学総合政策学部卒業。同大学院政策・メディア研究科修士課程修了。同後期博士課程単位取得退学。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科助教(有期・研究奨励Ⅱ)、独立行政法人中小企業基盤整備機構経営支援情報センターリサーチャー、立命館大学大学院特別招聘准教授、東京工業大学准教授等を経て2024年日本大学に着任。『メディアと自民党』『情報武装する政治』『コロナ危機の社会学』『ネット選挙』『無業社会』(工藤啓氏と共著)など著書多数。省庁、地方自治体、業界団体等で広報関係の有識者会議等を構成。偽情報対策や放送政策も詳しい。10年以上各種コメンテーターを務める。

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