見解「誰でも通園」制度は、利用者からは期待が大きい反面、受け入れの現場からは不安の声がたくさん聞かれます。そもそも、この背景には、どこの園にも通っていない子どものリスクが高いという調査結果が背景にあります。すべての親子が孤立しないための社会全体で子育てを支え合う取り組みです。少子化で地方などで園に空きがあることも背景の一つにあります。また、これまでの一時預かりの事業の仕組みの限界もあげられています。メリットもある一方で、通常通っている園児に加えて、新たな子どもをどのように受け入れていくかには大きな不安があります。今でも保育士の負担感が大きいことは大きな社会問題です。しかも、日本は超長時間保育を行っている国です。受け入れ態勢など丁寧な仕組みづくりを行わないと、園によっては大きな負担になると思います。こどもまんなか社会を作るためには、保育の場への手厚い投資が不可欠です。
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コメンテータープロフィール
専門は、保育学・乳幼児教育学。主に乳幼児期の教育・保育および子育て支援に関する質的な研究。 社会的活動としては、日本保育学会理事、乳幼児教育学会理事、こども環境学会理事、等がある。主著には、『「語り合い」で保育が変わる-子ども主体の保育をデザインする研修事例集』、『非認知能力を育てる あそびのレシピ 0~5歳児のあと伸びする力を高める』、『日本が誇る!ていねいな保育 0・1・2歳児のクラスの現場から』『21世紀型保育の探求-倉橋惣三を旅する』等がある。