解説放射線量が極めて高く、ロボット以外では入れない場所に落ちている、燃料デブリを無事に取り出すことに成功しました。13年前の事故時に、ウラン燃料が溶けて、溶岩のように床の上に落ちています。事故当初は海水を入れて冷やしたりしています。また、一度固まった溶岩が、場合によってはまた溶けることもあったかもしれません。しかし、事故の1か月後あたりでは、溶岩もかなり冷えてきていましたので、この溶岩(燃料デブリ)も、事故直後の情報をタイムカプセルのように保持していると考えられています。 わずかな量ですが、顕微鏡の世界から見るととても大きなサンプルです。事故の情報を保持しているタイムカプセルを開けること、つまり様々な分析を行う事で、事故の情報がわかってきます。事故の情報がわかれば、床に落ちて固まっている、その他の燃料デブリの情報も推定できます。 廃炉に向けた大きな一歩です。
コメンテータープロフィール
専門は原子力工学。東京大学大学院工学系研究科原子力専攻教授。東京大学にて、30年以上にわたり原子力安全、原子力熱流動などの研究教育に従事。月刊誌エネルギーレビューに、コラム「原子力何でもQ&A」を10年以上にわたり連載中。
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