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永濱利廣

永濱利廣認証済み

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第一生命経済研究所首席エコノミスト

報告

見解貿易赤字の主因を円安進行とする向きもあるようですが、2020年基準の輸出入物価指数(円建と契約通貨建て)を用いて3.1兆円の貿易赤字額を数量要因、価格要因、為替要因に分解すると、価格要因で6.4兆円の赤字、為替要因で0.9兆円の赤字、数量要因で4.2兆円の黒字となります。 このため、貿易赤字の主因は円安ではなく、為替要因を除いた輸出価格に対する相対的な輸入価格の高止まりということになります。 なお、為替要因が小さくなる背景としては、円安は輸入金額を膨らます一方で輸出金額も膨らませますので、貿易収支への影響は円安に伴う輸出入金額の膨張が相殺しあうためです。

コメンテータープロフィール

永濱利廣

第一生命経済研究所首席エコノミスト

1995年早稲田大学理工学部工業経営学科卒業後、第一生命保険入社。1998年日本経済研究センター出向、2000年より第一生命経済研究所経済調査部、2005年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了、2016年より現職。あしぎん総合研究所客員研究員、跡見学園女子大学マネジメント学部非常勤講師を兼務。総務省消費統計研究会委員、景気循環学会理事、あしかが輝き大使、佐野ふるさと特使、NPO法人ふるさとテレビ顧問。専門は経済統計、マクロ経済分析。著作に「経済危機はいつまで続くか」(平凡社新書)、「MMTとケインズ経済学」(ビジネス教育出版社)等。

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