見解警察官には極めて厳しい守秘義務違反が問われるわけですが、一般に個人情報を含む情報の価値を軽んじすぎる、というよりも理解が全く追いついていません。先般、公営の斎場関係者が、その利用者のリストを約1年間分、約3,000人の情報を葬儀社に提供していた事件がありました。今回の鹿児島県警の事件も、警察官が見返りとして「有用な情報が得られるために」と言っていることと、「告訴・告発」に関する一連の処理情報であることから警察の職務に直接関係する、つまり利害関係が存在する相手と考えられます。利害関係が存在すれば、当然ですが公正な職務が果たされることなく、不正の温床となりかねません。その情報の価値とともに、それが洩れることによって、特に最悪の相手にわたり、最悪の事態を十分理解しなければなりません。日本国民すべての詳細情報を指先ほどのUSBメモリに十分格納できる現在であるからこそ、その重さを実感すべきなのです。
コメンテータープロフィール
1989年大阪大学大学院工学研究科博士後期課程通信工学専攻修了、工学博士。同年、京都工芸繊維大学助手、愛媛大学助教授を経て、1995年徳島大学工学部教授、2005年神戸大学大学院工学研究科教授。情報セキュリティ大学院大学客員教授。情報通信工学、特にサイバーセキュリティ、インターネット、情報理論、暗号理論等の研究、教育に従事。加えて、インターネットの文化的社会的側面についての研究、社会活動にも従事。内閣府等各種政府系委員会の座長、委員を歴任。2018年情報化促進貢献個人表彰経済産業大臣賞受賞。 2019年総務省情報通信功績賞受賞。2020年情報セキュリティ文化賞受賞。電子情報通信学会フェロー。
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