Yahoo!ニュース

益尾知佐子

益尾知佐子

認証済み

国際政治学者/九州大学大学院比較社会文化研究院教授

報告

補足頼清徳の就任式を前に、中国の台湾への圧力強化が懸念されています。蔡英文時代、中国は戦闘機に台湾を周回させて軍事的圧力を加え始めました。ただし、今年2月に金門島付近で台湾側の追跡をきっかけに中国の漁民2名が亡くなり、海を舞台とした緊張が高まっています。3月には習近平が軍の幹部たちに、海での軍事作戦の準備を命じています。 皮肉なのは、習近平も頼清徳も金門島に深いゆかりがあることです。金門島は中国の厦門(アモイ)市の沖合にあり、歴史的にはアモイと一体化して発展してきた島。第二次世界大戦後の中国内戦で、中国共産党に負け続きだった国民党がやっとここで勝利を収めたため、以降ずっと台湾側が実効支配しています。頼清徳は若い時に軍人としてここで服役。習近平もキャリア早期に厦門で地方幹部でした。個人的な思い入れが二人の指導者の判断にどのように反映されていくか、それによって情勢がどう変化するか、注目です。

こちらの記事は掲載が終了しています

参考になった80

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 山口亮

    東京大学先端科学技術研究センター特任助教

    補足中国の戦略は想定内だが、実力行使よりは、政治・経済・社会レベルでの懐柔・操作工作等を通じた、「ハイブ…続きを読む

  • 高口康太

    ジャーナリスト、翻訳家

    解説益尾先生がコメントされていますが、台湾の巡視船に追われた中国の漁民の死亡事故は大陸では大きく報じられ…続きを読む

コメンテータープロフィール

益尾知佐子

国際政治学者/九州大学大学院比較社会文化研究院教授

専門は現代中国の対外政策、国際関係論。東京大学総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。小倉高校在学中にアメリカに、東京大学教養学部在学中に中国に交換留学してサバイバル力を磨く。日本国際問題研究所研究員、エズラ・F・ヴォーゲル教授研究助手、早稲田大学講師などを経て現職。ハーバード大学イェンチン研究所協働研究学者、中国社会科学院・外交学院訪問学者などを歴任。単著に『中国の行動原理──国内潮流が決める国際関係』、『中国政治外交の転換点──改革開放と「独立自主の対外政策」』、共著に『中国外交史』、訳書にエズラ・F・ヴォーゲル『日中関係史』など。好きなものは国境。

関連リンク(外部サイト)

益尾知佐子の最近のコメント