記事で名前が挙げられている大学の者です。 わが大学は中国政府の奨学金、国家建設高水平大学公費留学制度と協力し、優秀な留学生が来てくれるならと彼らを学費無料で受け入れてきました。それは中国への善意だったわけですが、しかしこの公費留学生は領事館と制度的に直結しています。(おかげで私の周りでも奇妙な事件が起きたことがあります。留学生が情報収集に使われてしまっているのだなあと、個人的に失望しました。)そのような制度的な背景もあって、福岡が拠点化しやすいのでしょう。 前もここに書いたことがありますが、私自身、海外警察の送り出し元とされる福州警察学院の警察学の研究者から、上記枠組みで在外研究するお金が取れたので福岡に行きたい、あなたは書類にサインするだけでよいとメールを受けたことがあります。学術とか民間とかを装って体制浸透してこようとするやり方は、こちらの善意を利用しており、強い憤りを覚えます。
コメンテータープロフィール
専門は現代中国の対外政策、国際関係論。東京大学総合文化研究科博士課程修了、博士(学術)。小倉高校在学中にアメリカに、東京大学教養学部在学中に中国に交換留学してサバイバル力を磨く。日本国際問題研究所研究員、エズラ・F・ヴォーゲル教授研究助手、早稲田大学講師などを経て現職。ハーバード大学イェンチン研究所協働研究学者、中国社会科学院・外交学院訪問学者などを歴任。単著に『中国の行動原理──国内潮流が決める国際関係』、『中国政治外交の転換点──改革開放と「独立自主の対外政策」』、共著に『中国外交史』、訳書にエズラ・F・ヴォーゲル『日中関係史』など。好きなものは国境。
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