見解経済制裁は、他国に行動を強制する手段であるという点で、戦争の一歩手前の行為だ。つまり目的は、相手国にある種の行動を促すところにあるはず。ところが北朝鮮は長きにわたって制裁を受け続ける中で、耐性を持ってしまった。もはや経済制裁は、北朝鮮に行動を強制する手段として機能しない。ということは、最後の手段であるはずの戦争が、実は目の前に迫っている。それを実感させる要素はまだないが、知らないうちに危険度が増しているという、これこそが朝鮮半島危機の怖いところと言えるかもしれない。
コメンテータープロフィール
北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)など。YouTube「高英起チャンネル」でも独自情報を発信中。
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