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小林真一郎

小林真一郎

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三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部 主席研究員

報告

今年の春闘の結果が反映されることで注目された賃金上昇率ですが、現金給与総額(1人当たり賃金)で前年比1.0%増と3月の同1.3%増から伸びが鈍りました。ベースアップに連動する一般労働者の所定内給与では、3月の同1.1%増から1.4%増に拡大しましたが、伸びは小幅です。速報値であり、また賃金改定に時間がかかる企業もあると考えられるため、今後、伸び率が高まってくる可能性はありますが、春闘によって高まった賃上げムードが、やや後退した形となりました。さらに実質では前年比3.0減と、先月の同2.3%減から落ち込みが大きくなっています。 賃金上昇が一部の企業にとどまり、労働者全体への波及が限定されるようであれば、年内に実質賃金がプラスに転じることは難しいと考えられます。しばらくは、コロナの感染収束に伴って個人消費は増加が見込まれますが、実質賃金のマイナスが続けば、いずれ息切れする懸念があります。

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  • 永濱利廣

    第一生命経済研究所首席エコノミスト

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コメンテータープロフィール

小林真一郎

三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部 主席研究員

1990年3月一橋大学社会学部卒、同年4月日本長期信用銀行(現新生銀行)入行。外資系資産運用会社勤務を経て1999年12月三和総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング)入社。以来マクロ経済/金融調査を専門に担当し、現在は国内経済統括を担当。東京外国語大学非常勤講師(2003年度~2011年度)、参議院客員調査員(2005年9月~)。BSテレ東「日経プラス9」・日経CNBC「昼エクスプレス」レギュラーコメンテーター、NHK、民放テレビ各局への出演、日本経済新聞など有力紙、専門誌への寄稿多数。ESPフォーキャスト調査、2018年度/2020年度/2021年度優秀フォーキャスター。

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