解説関係が緊張すればするほど外交ルートが大切になる。関係が緊張しているから会わない、話さない、というわけにはいかない。その点で意義のある日中韓首脳会談だ。日中韓首脳会談前の日中首脳会談では、台湾問題が一つの焦点になろう。中国側は日本の国会議員らの台湾の総統就任式への参加などに強く抗議するものと思われるが、岸田総理としては日本の姿勢を述べた上で、「台湾について日本政府のスタンスはなんら変更はない」と応じるだろう。他方、日米韓協力を牽制したい中国だが、日韓関係が良好なのでそれも困難。今回は中国側も言いたいことを述べるだけになろう。尹政権も岸田政権もともに支持率が低迷し、ともに国内の対中世論は極めて悪い。世論から「弱腰」と取られることは好ましくないので、中国に対してやや厳しい姿勢をとることが予想される。それに対して李強首相がどう応じるか。中国の「大国」外交なるものの姿が問われることになろう。
コメンテータープロフィール
専門はアジア政治外交史。中国・台湾の現状についても関心を持っています。