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門倉貴史

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エコノミスト/経済評論家

報告

見解税制調査会が壁の引き上げに消極的なのは、財源が見当たらないというのが大きな理由だが、所得税・住民税の基礎控除を引き上げることで税収が7.6兆円減少しても、この税収の減少は早い段階で解消できる。  なぜなら、近年の日本の税収弾性値(名目GDPが1%上がったときに税収が何%増えるかを示す値)は2を上回っているからだ。これは名目GDPが1%増えれば税収は2%を超えて増えることを意味する。  壁の引き上げによる実質的な減税によって国民の手取り所得が7.6兆円増えれば、消費の拡大→企業収益の改善→賃金の上昇→消費のさらなる拡大という好循環が実現して、名目成長率が高まりやすくなる。2023年度の税収72兆円を起点にして考えると名目成長率が5%あれば、税収は10%を超えるスピードで増加するので、7.2兆円を超える税収増になり、減税による税収ロス(7.6兆円)はほぼ解消する。

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    十文字学園女子大学非常勤講師

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コメンテータープロフィール

1971年神奈川県生まれ。95年慶応義塾大学経済学部卒業、同年銀行系シンクタンク入社。99年日本経済研究センター出向、00年シンガポールの東南アジア研究所出向。02年から05年まで生保系シンクタンク経済調査部主任エコノミストを経て、現在はBRICs経済研究所代表。同研究所の活動とあわせて、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」など各種メディアにも出演中。また、雑誌・WEBでの連載や各種の講演も多数行なっている。『図説BRICs経済』(日本経済新聞社)、『増税なしで財政再建するたった一つの方法』(角川書店)、『オトナの経済学』(PHP研究所)、『日本の「地下経済」最新白書』(SB新書)など著作多数。

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