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門倉貴史

門倉貴史

認証済み

エコノミスト/経済評論家

報告

ワクチン普及が進まないまま、五輪開催ありきで感染対策がとられた場合、開催後に感染の大きな波(第5波)に見舞われるリスクが高まる。五輪開催に間に合わせるため、第4波の感染者数を十分に減らすことができないまま緊急事態宣言を解除すれば、第3波収束時と同様に感染のリバウンドが発生して、それが次の感染の波のきっかけになる恐れがある。また、緊急事態宣言を解除している期間に安全安心を強調して五輪を開催すれば、それがアナウンスメント効果として働き、人々に「気の緩み」をもたらし、繁華街などへの人出が増えて、第5波襲来につながる可能性もある。第5波を封じ込めるために、全国で強い緊急事態宣言を出すと1か月あたり10兆円超の経済損失が発生する。五輪を中止にした場合の経済損失(関西大学の試算で4兆5151億円)に比べて、五輪開催による経済損失のほうがはるかに大きな金額になる恐れがあることには十分な注意が必要だろう。

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コメンテータープロフィール

1971年神奈川県生まれ。95年慶応義塾大学経済学部卒業、同年銀行系シンクタンク入社。99年日本経済研究センター出向、00年シンガポールの東南アジア研究所出向。02年から05年まで生保系シンクタンク経済調査部主任エコノミストを経て、現在はBRICs経済研究所代表。同研究所の活動とあわせて、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」など各種メディアにも出演中。また、雑誌・WEBでの連載や各種の講演も多数行なっている。『図説BRICs経済』(日本経済新聞社)、『増税なしで財政再建するたった一つの方法』(角川書店)、『オトナの経済学』(PHP研究所)、『日本の「地下経済」最新白書』(SB新書)など著作多数。

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