変異株による感染は驚異的なスピードで広がる。フランスの場合、初めて変異株が確認されたのが昨年末で、今年1月半ばの段階では新規感染者に占める割合は1%にすぎなかった。しかし、1ヶ月後の2月半ばには4割を超え、瞬く間に広がっていった。フランス政府は3月初めに一部地域でロックダウンを開始したが、感染の広がりに歯止めがかからず、4月3日からはロックダウンの対象地域をフランス全土に広げることになった。日本も大阪と兵庫で猛威を振るう変異株が短期間のうちに全国に広がっていく可能性があり、そうなった場合、全国を対象に3度目の緊急事態宣言を出さざるを得なくなり、行動制限による経済損失額は1ヶ月あたり10兆円を超えることになってしまう。全国規模で巨額の経済損失を出さないようにするためにも、大阪と兵庫では早い段階で「まん延防止等重点措置」から「緊急事態宣言」に切り替える必要性があるのではないか。
コメンテータープロフィール
1971年神奈川県生まれ。95年慶応義塾大学経済学部卒業、同年銀行系シンクタンク入社。99年日本経済研究センター出向、00年シンガポールの東南アジア研究所出向。02年から05年まで生保系シンクタンク経済調査部主任エコノミストを経て、現在はBRICs経済研究所代表。同研究所の活動とあわせて、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」など各種メディアにも出演中。また、雑誌・WEBでの連載や各種の講演も多数行なっている。『図説BRICs経済』(日本経済新聞社)、『増税なしで財政再建するたった一つの方法』(角川書店)、『オトナの経済学』(PHP研究所)、『日本の「地下経済」最新白書』(SB新書)など著作多数。
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