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星周一郎

星周一郎認証済み

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東京都立大学法学部教授

報告

見解事業活動で生ずるゴミである産業廃棄物等には、廃棄物処理法の規制があります。しかし、一般家庭のゴミの分別ルールなどに関しては、正式な法令ではなく、したがって法的強制力もない「ソフトロー」によって対応し、住民の側でも、いわば自主的にそれを守る、という形になっています。 ゴミ置き場に捨てられたゴミの法的位置づけは、必ずしも明確ではないのですが、ゴミの中身には、それを捨てた人の生活パターンが分かる物など、プライバシーに関する情報が含まれることも多いです。そのため、明らかな違反ゴミについて、開封して捨てた人を特定するためには、それなりの法的根拠が必要という考え方に基づき、条例の制定が検討されていることになります。 自治体も、本音としては条例制定を望んでいないでしょう。また、分別ルール自体を知る機会のない人が意図せず違反する場合もあるため、ルールの周知とあわせて対応していくことが望まれます。

コメンテータープロフィール

1969年愛知県生まれ。東京都立大学法学部卒業、博士(法学・東京都立大学)。専門は刑事法。近年は情報法や医事法にも研究対象を拡げている。著書として『放火罪の理論』(東京大学出版会・2004年)、『防犯カメラと刑事手続』(弘文堂・2012年)、『現代社会と実質的刑事法論』(成文堂・2023年)、『アメリカ刑法』(訳・レクシスネクシス・ジャパン・2008年)など。

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