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札幌―旭川間の特急に設定残る「自由席往復割引きっぷ」、オプション券購入で指定席やグリーン車も利用可能

鉄道乗蔵鉄道ライター
特急カムイ号と同型の789系電車(写真AC)

 JR北海道がこの3月に行ったダイヤ改正で札幌―室蘭間を結ぶ特急すずらん号の全席指定席化と窓口での往復割引切符の廃止により、特急すずらん号の客離れが加速しダイヤ改正以降は、空気輸送の様子を伝える投稿がSNSやYouTubeを賑わせていることはこれまでも何度も伝えている。その一方で札幌―旭川間を結ぶ特急カムイ・ライラック号については自由席車を減車したことにより一部の列車では空席が目立つ指定席に対して自由席の混雑が激しさを増している。

 特急すずらん号については、割引切符の販売を前日までに予約が必要で切符の発券後は予約の変更が効かないえきねっとに一本化したことで利便性を低下させ客離れを招く結果となった。一方の札幌―旭川間については、各主要駅間ついて自由席と当日購入が可能な自由席往復割引きっぷ(Sきっぷ)の販売は残ったことから札幌―室蘭間ほどの利便性の低下は招いていない。しかし、現在のJR北海道の流れから札幌―旭川間についても、そう遠くないうちに特急列車の全席指定席化と割引切符の制約のあるえきねっと販売へ一本化されるという見方が強いことは2024年8月18日付記事(いつまで残る!? 札幌―旭川間を結ぶ「特急カムイ・ライラック号」自由席と窓口販売の往復割引切符)でも触れている。

オプション券購入で指定席もグリーン車も利用できるSきっぷ

札幌から旭川方面で設定の残る自由席往復割引きっぷ(筆者撮影)
札幌から旭川方面で設定の残る自由席往復割引きっぷ(筆者撮影)

 現在、札幌―旭川間の主要駅間に設定されている自由席往復割引きっぷ(Sきっぷ)であるが、料金券をオプション購入することで指定席やクリーン席も利用できる。筆者は先日、札幌―岩見沢間を特急利用したが、往路の札幌―岩見沢間では自由席を利用し、復路の岩見沢―札幌間では指定席料金券を購入し指定席を利用した。

筆者が利用したSきっぷについては有効期間が6日間あり、6日以内に券面の区間を往復すれば割引料金が利用できる。札幌―岩見沢間については、片道の通常料金であれば乗車券が970円で自由席特急料金が630円の合計1,600円となるが、Sきっぷ利用では往復1,980円(片道あたり990円)となる。

 筆者が、往路の札幌―岩見沢間に乗車したのはお盆休み終盤の8月17日の昼過ぎの列車であったが、指定席の空席が目立った一方で自由席は混雑していた。札幌駅を発車してしばらくすると車掌さんが検札に回ってこられ、自由席利用者の乗客に対しては全員の切符にスタンプを押して回っていた。

 復路の岩見沢―札幌間については翌日乗車。乗車する列車は直前に決め、指定席料金券をオプション購入した。指定席の発売状況については車掌さんが携帯している端末で把握できることから、乗客が正しい席に乗車している限りでは検札は省略される。筆者が乗車した際も、自由席に乗車した往路とは異なって指定席に乗車した復路では、車掌さんから切符の確認を求められることはなく、そのまま札幌駅まで乗車することとなった。

 現在、札幌―旭川間の主要駅間で設定されているSきっぷについては、乗りたいときに手軽な料金で利用できるほか、必要に応じてオプション券を購入することで指定席やグリーン車にアップグレードできることから利便性が高い。札幌―旭川間の特急列車についても全席指定席化とえきねっと販売への移行を目指すのであれば、現状のSきっぷ並みの利便性をネット販売でどのように確保するのかが客離れを防止するためのカギとなるだろう。

オプションの指定席料金券を発券した自由席往復割引きっぷ(筆者撮影)
オプションの指定席料金券を発券した自由席往復割引きっぷ(筆者撮影)

(了)

鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。ステッカーやTシャツなど鉄道乗蔵グッズを作りました。

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