8割は「危険」認識、子供のコミュニティサイト利用
大人だけでなく子供の間にも携帯電話、特にスマートフォンが普及するにつれ、ソーシャルメディアをはじめとするコミュニティサイト(意思疎通を主機能とする、インターネット上のサービス。ソーシャルメディアのような不特定多数相手のもの以外に、チャットなど特定少数を相手とするものも含む)に触れる、利用する機会も増えてくる。コミュニケーションの機会が得られ、社会生活の上での常識を知る訓練にもなるし、見識を広めることにもなるので、情緒教育の観点でもプラスと見ることもできる。
一方「出会い系サイト」をはじめとした各種リスクとの接触も懸念される。単純に犯罪まがいの行為に誘われる・巻き込まれるだけでなく、他の利用者との間でいざこざを起こしたり、不特定多数から悪意を向けられる可能性もあるなど、大人・保護者サイドとしては気が気でない。
次のグラフは内閣府が2013年9月に発表した「子供の安全に関する世論調査」の結果を基にしたもの。20歳以上の人に対し、子供がコミュニティサイトを利用することについて、危険だと思うか否かを一般論的に聞いたものだが、全体では8割の人が利用に懸念を抱いていた。
意図的に偽装をしたサービスで無い限り、各サービスは対応策を取り、問題行動が起きないよう努力をしている。しかしサービスの仕組みを悪用する人が居るのも事実で、ここ数年来減少していたトラブル件数も直近では再び増加する動きを示している(再増加する子供のコミュニティサイト上での被害)。それだけコミュニティサービスが普及浸透し、利用者が増えた結果によるものだが、子供に対する親の不安が募るのも理解は出来る。
男女間では女性の方が強い懸念を抱いているが、これは子育てのために自宅で子供と共にいる時間が長く、母親の立場にいる人が多いのが原因。子供がある程度成長し、スマートフォンなどでコミュニティサイトを利用し始める30代で不安度が大きくなるのも道理が通る。60代も強い懸念度を示しているが、これは自分にとっての孫への想いから来た結果と考えられる。
実際、調査対象母集団を「子供、孫が居る」「居ない」別で確認すると、「(強く)思う」の度合いは圧倒的に「居る」の方が高い。
一般論の「危険だ」認識と、自分の身内に起きうる「危険だ」の認識では、当然後者の方が真剣度は強い。その違いがそのまま「強く危険だと思う」回答率の差異として表れたのだろう。
コミュニティサイトも通常の口頭と根本的な部分に違いは無い。要は直接語り合うか、インターネットを使うかの違いである。しかしそのツールの違いによる注意点は多い。その点について、保護者など周囲の大人は十分な啓蒙教示をしているだろうか。電話のかけ方や手紙の書き方は教えていても、同じ意思疎通手段であるインターネット上のやり取りについて、どれだけ時間を割いているだろうか。
「危険だ」と大人が判断した場合、利用を差し止めるのは一番シンプルで分かりやすい解決法。「心配する位ならその元ネタを断てばよい」という次第。しかし便益も多く、周囲で利用している人が多数に及ぶ以上、禁止するのも酷な話(特に他人との比較をしやすく、同じ環境下にあることを強く求める子供には辛い話となる)。まずは大人自身が正しい知識を学び取り、その上で子供に教え諭し、リスクを減らすことで、自分自身の「危険だ」という懸念を無くすことをお勧めしたい。
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