春一番と砂ぼこり
17日午前、関東と北陸で春一番が吹いた。全国的に春のあらしとなったが、関東だけは雨雲がかからず。雲の間から見える茶色のすじは砂ぼこり?
日本列島に春の嵐
こちらは17日午前9時の天気図です。日本の南に高気圧があり、本州付近で等圧線の間隔が狭くなっています。高気圧から低気圧に向かって強い南よりの風が吹き、17日午前、関東と北陸に春一番が発表されました。
春一番といえば聞こえもよいですが、本来は風が吹き荒れる春の嵐です。強風や高波、なだれや雪解けなどに注意を呼び掛ける意味合いがあります。
17日は強風に加えて、前線に伴う雨雲が広範囲に広がり、全国のほとんどの所で雨や雪が降っています。でも、関東地方だけはまるで雲に穴が開いたように晴れていて、東京の正午の天気は快晴でした。
どうして、関東地方だけ雲がないのでしょう?
それは関東地方の地形にあります。関東の西部は箱根から秩父、そして群馬県へと山が連なっています。これらの山々に雨雲が遮られ、天気が崩れにくいのです。実際、東京は快晴でも、静岡県、山梨県、長野県では雨が降りました。
春はつちふる季節
雲のない関東地方。そのなかをのぞいてみると、千葉県、茨城県付近から海に向かって、何か茶色のすじのようなものが見えます。
これはなんでしょうか?
たぶん、強い南よりの風による砂ぼこりだと思います。宇宙から見ても、はっきりとわかるくらいですから、大規模な砂ぼこりです。
天気の言葉では、ちりや砂が強い風によって空中高くまで激しく吹き上げられる現象を「砂じんあらし」といいます。とくに、関東地方では霜柱が立つ真冬よりも、地面が乾燥し、畑がみどりに覆われる前の春先に起こりやすい。
風に巻き上げられた土や砂が降る様を「つちふる」といいますが、関東地方の春はまさにつちふる季節といえます。
【参考資料】
気象庁天気相談所:関東地方で春一番が吹きました,2月17日
新潟地方気象台:北陸地方の「春一番」に関するお知らせ,2月17日
気象庁:気象観測の手引き
倉嶋厚,2002:第7章 風の季節,大学テキスト日本の気候,古今書院