【神戸市】朝ドラ『ブギウギ』の羽鳥善一が愛したメッテル先生は神戸深江文化村に住んでいた
NHK朝ドラ『ブギウギ』に登場する草彅剛が演じる音楽家の羽鳥善一が尊敬しているのが当時ロシア革命から逃れ亡命してきた音楽家のメッテル。メッテルは実在した人物で、日本にいたときは神戸に住んでいました。メッテルらが住んでいたのが神戸市東灘区にある深江文化村でした。
多くの日本人音楽家を輩出した深江文化村
ドラマの羽鳥善一のモデルとなっているのが作曲家の服部良一。服部良一は戦前から戦後にかけてヒット曲を数多く手がけた作曲家。代表作には『別れのブルース』『東京ブギウギ』『銀座カンカン娘』などが一定年齢以上の方なら誰も知る曲が並びます。その服部良一の才能を見出し音楽理論などを教授したのが亡命ウクライナ人のエマヌエル・メッテルでした。
ドラマの中でも羽鳥善一が「メッテル先生」と呼び尊敬し、ビアノの上にはメッテルの写真も飾っているシーンが映ります。
深江文化村はメッテルら亡命音楽家が住んでいた地域で服部良一や朝比奈隆など後に日本を代表する音楽家らが彼らから音楽を学びました。大正時代に作られた洋館街にメッテルらが住み、そこで音楽を教えたことからこの洋館がある一帯を深江文化村ともよばれるようになったのでした。
いまはほとんど面影がなくなった深江文化村
かつては13棟の洋館が中庭を取り囲むように建てられ深江文化村と呼ばれていた地域にいま現存する洋館は1軒のみです。実は最近まで2軒の洋館が現存していましたが、残念ながら2023年10月に2軒のうちのひとつの古澤家住宅が解体されました。メッテルが住んでいた洋館も2007年に取り壊されています。
古澤家住宅の部品を展示している神戸深江生活文化史料館
その古澤家住宅で使われていたドアや手すりなどの部品の一部が神戸深江生活文化史料館で常設展示されています。古澤家住宅は、1925年(大正14年)に現ウクライナ・キーウ工科大学出身の建築家により建てられました。手すりに残るデザインなどは他には類を見ない珍しいものだとか。ひょっとしたらメッテル先生もこの手すりに触れたかもしれません。
同史料館にはメッテル関連の資料として、メッテルが指揮をした演奏会のパンフレットが古澤家住宅の資料と一緒に展示されています。
メッテルは、第二次大戦が始まる前の1939年(昭和14年)に日本を離れ渡米しますが、その離日前にはNHK大阪放送局で告別演奏会を開いていることからも当時も人気があったことがうかがえます。そしてメッテルは1941年(昭和16年)に米国で死去します。
メッテルらが住んでいた深江文化村の面影は薄くなりましたが、当時の住宅の一部や史料をここで見ることができます。神戸でメッテルの足跡を訪ねれば、より朝ドラ『ブギウギ』を深い視点から見ることができるかもしれません。
神戸深江生活文化史料館
神戸市東灘区深江本町3-5-7
開館日 毎週土曜日、日曜日
開館時間 10時~17時00分(入館は16時30分まで)
最寄り駅 阪神電車深江駅下車
入館料 無料
公式サイト