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この夏も記録的猛暑の可能性 世界的な海面水温の上昇で

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
【気象庁暖候期予報】この夏(6月~8月)の平均気温の予想、ウェザーマップ作画

 記録的な暖冬で幕を開けた2024年、日本の平均気温は4季連続で上位1位~2位となり、気温の上昇に歯止めがかからない状況が続いています。

 今年最初の夏の天候見通しによると、西・東日本では平年に比べ暑い夏になる確率が60%と、この10年で最も高い確率となっています。この夏の気温予想についてまとめてみました。

この冬はスーパーエルニーニョ

 この冬(12月~2月)の日本の平均気温は基準値を1.27度上回り、過去126年間で2番目に高くなりました。

 記録的な暖冬となった要因のひとつに2023年春に発生したエルニーニョ現象があります。南米ペルー沖の海面水温は2023年8月以降、基準値を2度以上上回っていて、非常に強いエルニーニョ現象(いわゆるスーパーエルニーニョ)が続いています。

 大規模なエルニーニョ現象の発生により、日本付近では冬型の気圧配置が長続きせず、寒気の流れ込みが弱くなりました。

気象庁エルニーニョ監視速報(No.377)より
気象庁エルニーニョ監視速報(No.377)より

夏の予想に精度あり

 この夏の天候見通し(暖候期予報)が2月20日に発表されました。毎年、この時期に発表され、この夏の予報の基本となるものです。注目したのは平均気温の確率です。

 西・東日本では気温が平年より高くなる確率が60%と高い一方で、低くなる確率が10%となっています。

 このような場合、大きい数字に注目しがちですが、長期的な予想では小さい数字にも意味があります。「30:40:30」のような平たい確率よりも、偏りが大きい予想ほど精度が高いからです。

気象庁暖候期予報(6月~8月)より
気象庁暖候期予報(6月~8月)より

世界的な海面水温の上昇で

 今年は世界的にみても気温が記録的に高くなる可能性が高いとみられています。

 米環境情報センター(NOAA/NCEI)によると、2024年世界の平均気温がトップ5に入る確率は99.1%と予測されています。

気象庁・東京気候センター(JMA/TCC)ホームページより
気象庁・東京気候センター(JMA/TCC)ホームページより

 その背景にあるのが世界的な海面水温の上昇です。大規模なエルニーニョ現象の発生で、熱帯域の海面水温が高くなっていること、そして温暖化の進行が海洋に深く及んでいることがあります。

【参考資料】

気象庁:エルニーニョ監視速報(No.377)、2024年2月9日発表

気象庁:暖候期予報(6月~8月)、2024年2月20日発表

気象庁ホームページ:2023年〜2024年の冬(12月〜2月)の天候、2024年3月1日掲載

気象庁・東京気候センター(JMA/TCC)ホームページ:Probabilistic Forecast (Warm / Cold Season Prediction)

米環境情報センター(NOAA/NCEI):Global Annual Temperature Rankings Outlook、January 2024

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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