タバコを吸うと薄毛になりやすい 1日10本以上の喫煙でリスクが約2倍
タバコは呼吸器系や循環器系に悪影響を与え、将来の死亡リスクを増加させることが知られています。過去の複数の研究を統合して解析し、タバコと男性型脱毛症の関連について1つの結論が提示されました。
タバコと男性型脱毛症の関連について
私の頭髪も、年々なんだか薄くなってきたような気がしますが、気のせいだろうと思いながら日々過ごしています。頭髪が薄くても気にしなくてよいという意見は多いですが、当の本人は割と頭髪のことを気にするものです。
タバコと男性型脱毛症の関連を論じた研究はあまり多くなく、また研究ごとに結果がまちまちであったことから、これまでその真実は不透明なままでした。
今回、4つの研究で得られたデータを統合して解析したところ、喫煙の経験がある男性は非喫煙者と比べて男性型脱毛症のリスクが1.82倍であることが分かりました(図1)。
さらに解析すると、1日に少なくとも10本以上タバコを吸う男性は、それ未満の男性と比べて男性型脱毛症を発症するリスクが1.96倍になることが示されました(図2)。
つまり、男性がタバコをたくさん吸うと、薄毛になりやすいということが示されたわけです。
なぜタバコを吸うと薄毛になるのか?
タバコを吸うと薄毛になる理由として、いくつか仮説があります。
タバコにはニコチンが含まれています。これによって血管が収縮して、髪の毛の細胞のはたらきを阻止してしまうことが理由とされています。
また、タバコを吸うと、男性ホルモンが過剰になると言われています。アメリカの喫煙者と非喫煙者を比較したところ、喫煙者の体内では男性ホルモンの数値が高くなり、とくにジヒドロテストステロンが過剰になり、脱毛症になりやすいと報告されています(2)。
その他、一酸化炭素が増えて血管が障害されやすいこと、毛根に炎症を起こしやすいことも分かっています。喫煙することで体の炎症性サイトカインという化学物質が増えるため(3)、体は吸入した異物と常時戦わざるを得ない状態が続いているのです。
早発白髪にも注意
その他、薄毛だけではなく、白髪のリスクにもなるという研究もあります。
12~91歳の韓国人を対象としたアンケート調査によると、喫煙が1年増えるごとに、早発白髪になるリスクが14.9%増加し、全体では非喫煙者に比べて早発白髪のリスクが1.99倍になることが報告されています(4)。
まとめ
現時点では、紙巻きタバコから加熱式タバコや電子タバコに切り替えて脱毛リスクが減るというエビデンスはありません。
ニコチンやタールは依然として含まれているので、タバコと名の付くものは、頭髪を守るためにもスパっとやめてしまうのがよろしいかと思います。
(参考)
(1) Gupta AK, et al. J Cosmet Dermatol. 2024 Jan 4. doi: 10.1111/jocd.16132.
(2) Field AE, et al. J Clin Endocrinol Metab. 1994 Nov;79(5):1310-6.
(3) Freiman A, et al. J Cutan Med Surg. 2004 Nov-Dec;8(6):415-23.
(4) Jo SJ, et al. Acta Derm Venereol. 2012 Mar;92(2):160-1.