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台風8号 関東など東日本への影響早まる

増田雅昭気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
雨と風の予測。左:10日午後3時、右:11日午前0時(ピンク色の矢印は強風)

台風8号は10日朝、鹿児島県に上陸しました。今後も東へ進みますが、関東など東日本への影響は、当初の予報より早まりそうです。

各地のピークは?

台風8号による雨・風のピークは、四国が10日昼すぎにかけて、近畿は夕方にかけて、東海は今夜にかけて、関東甲信は今夜遅く~11日明け方、東北は11日午前にかけて、北海道は11日午後にかけて、と概ねなりそうです。

■最新の台風予報:http://typhoon.yahoo.co.jp/weather/jp/typhoon/

台風の勢力が落ちたことで、ピークが早まる

この時期の本州付近は、まだ海水温が低くエネルギーの補給がほぼないため、台風は勢力を維持できません。少し崩れはじめると、あっさりと勢力が落ちることはよくあります。

勢力が急に落ちてきたことにより、関東など東日本で交通機関がマヒするなどの台風らしい暴風雨が長時間つづく恐れは小さくなってきました。

11日午前6時の雨と風の予測(ピンク色の矢印は強風)
11日午前6時の雨と風の予測(ピンク色の矢印は強風)

ただ、勢力が落ちたことで、雲の形がいびつになり、台風の中心より東側に活発な雨雲が集中しています。つまり、台風の中心が来る前に、雨や風のピークを迎えるということです。

また、秋ほど強くはないものの、本州付近の上空には西風が吹いています。台風の形が崩れると、より風まかせに流されやすくなって、進行が早まっている面もあります。

勢力が落ちても油断できず

勢力が落ちたことで、結果的に「拍子抜けだった」となるかもしれません。すでに台風が接近した西日本でも、そういった声があります。一方で、同じ西日本でも激しい風や大雨になっている所もあります。

形が崩れたと言っても、台風は積乱雲の集合体です。一時的な激しい雨や突風が起こり得ることは、頭に入れておく必要があります。北日本など台風からかなり離れた地域での大雨も、引き続き油断ができません。

台風通過後も残る高波、急に来る猛暑

11日の昼間には、関東以西では晴れますが、台風が去ってもすぐに終わらないのが高波です。特に11日は天気が回復して気が緩みがちなだけに、海の事故につながりやすい天気とも言えます。子供には、事前に声をかけておきたいところです。

台風が残していくのは、高波ともう一つ、猛暑です。台風はもともと熱帯の空気の塊ですから、台風が北上してくると気温は上がりやすくなります。11日の関東以西は30℃を超える所が多く、山越えフェーンの風が加わる関東は35℃近い暑さの所もありそうです。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

TBSテレビ・ラジオ気象キャスター。大学在学中に気象予報士を取得し、民放キー局の報道番組に学生予報士として出演。気象キャスターに携わりながら、企業への予報やアドバイザーも長年担当し、甲子園での高校野球の大会本部気象担当を務めたこともある。災害から身を守る気象情報の使い方など講演も行うほか、Twitterで気象情報を毎日発信。著書に『TEN-DOKU クイズで読み解く天気図(ベレ出版)』がある。1977年滋賀県甲賀市生まれ。

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