物価を考慮すると意外な30余年の学校給食費の推移
約30年で2倍に上昇した学校給食費
運動会や遠足のような非日常的イベントだけでなく、日々の学校生活でも、子供達にとって待ち遠しい行事は数多く存在する。その一つが「学校給食」。毎月配られる献立表を手にし、その内容を想像し、胸踊る気持ちになった経験を持つ人も多いはず。一方、その学校給食を利用している子供達自身、そしてその保護者にも、学校給食の費用(給食費)は気になる出費の一つ。今回はその給食費について、過去からの価格推移を確認していく。
取得したデータは総務省統計局の「小売物価統計調査 調査結果」。給食費については1975年以降調査が実施されているので、それら(東京都区部小売価格)を逐次抽出していく。その結果生成できたのが次のグラフ。
学校給食が戦後再開されたのは1946年とされている。しかし法律で正式に制定された(学校給食法)のは1954年。データは給食開始(再開)から20年あまり後からの取得なため、給食費の全ぼうを確認するのにはやや足りない。しかし今回取得出来た範囲内で見ても、急激な変化は無く、緩やかな上昇に留まっていることが分かる。
一番古いデータの1975年当時は、小学校低学年で約1800円、高学年で約2000円強、中学校で約2300円。これが2014年ではそれぞれ3700円近く・約4300円・4600円強。2倍内外に留まっている。消費者物価の動向を考慮すれば、それなりの上昇に留まっている。
物価変動を考慮すると……
上記グラフ、数字はあくまでも額面そのもの。各年の物価は考慮されていない。そこで各年の給食費に、それぞれの年の消費者物価指数を考慮し、計算をし直した結果が次のグラフ。具体的には直近の2014年における消費者物価指数をベースとし、過去の各額面を修正している。
消費者物価指数を考慮すると給食費は1975年以降むしろ漸減している。1990年前後から上昇しはじめるも、その上昇幅はゆるやかなものでしかない。1975年からの上昇率は、わずか15%内外で留まっている。給食の内容まで精査すれば、実質的に値上げなどないも同然だろう。金額の上でも実質的には500円から600円台(物価指数反映後における比較)。給食費がいかに「物価の優等生」であるのがうかがいしれるというものだ。
■関連記事: